[東京 9日 ロイター] - 安倍晋三首相は9日午前都内で英エコノミスト誌主催のイベントで講演し、安保法制審議に絡み、1960年の日米安保条約改定も「大変な反対にあい、岸信介元首相(当時)が退陣と引き換えに成立させた」と指摘。一方、安保法制を契機とした「解散・総選挙はまったく考えていない」と明言した。
首相は60年の安保改定について「私の祖父(岸元首相)は50年すれば必ず理解されると言った」と回顧。今回の安保法制についても「議論を進めれば理解は少しずつ進む。丁寧になるべくわかりやすく説明していく」と強調した。
中国の南シナ海での活動に対しては、「日米・東南アジアが連携し中国に正しい行動取るよう促していく」と述べた。
<ギリシャ問題、G7と連携>
ギリシャ問題については「関係者間の協議を見守りつつG7諸国と緊密に連携し、ユーロ圏の経済の安定に寄与していく」とした。
アベノミクスの成果を踏まえ「もはや経済政策は争点にならない。野党の身になって考えれば、議論すればするほど安倍政権のアピールになってしまう」と自信を見せた。
一方、「我々は新たな壁にぶつかっている、それは供給制約の壁」と指摘し「供給制約の克服が経済成長のカギを握る」と強調した。金融・財政政策による需要不足の解消から、経済政策の焦点が移りつつある可能性を示唆した格好だ。
成長戦略の一例として「外国人人材の活用」を取り上げ、「企業に女性役員を1人は入れるよう」要望。「外国人が母国語で医療受けられるような規制改革も目指す」と語った。
<日銀とはハネムーン>
歳出削減をめぐる政府の姿勢などを踏まえ、政府と日銀との関係は良好か、との質問に対し、首相は「日銀は2%の物価目標に向けて着実に仕事をしている」と評価。「日銀との関係は、夫婦が信頼していると言う意味ではハネムーンの状態だ」と表現した。
環太平洋連携協定(TPP)交渉は「ゴールテープに手が届くところまで来た」としつつ「最後の1インチが最も大変」だとして日米の指導力で早期の妥結に期待を示した。
(竹本能文 編集:野村宏之)
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