安倍晋三首相は6月1日、通常国会の閉幕を受けて首相官邸で記者会見を開き、2017年4月に予定する消費税率の10%への引き上げを19年10月まで2年半延期することを正式に表明した。また延期の是非について「22日公示-7月10日投開票」予定の参院選で国民の審判を仰ぐ考えも示した。
NHKニュースは次のように報じた。
安倍総理大臣は「新興国や途上国の経済が落ち込んで、世界経済が大きなリスクに直面しており、こうした認識を伊勢志摩サミットで世界のリーダーたちと共有した。熊本地震の影響も含め、日本経済にとって新たな下振れリスクとなっており、最悪の場合、再びデフレの長いトンネルへと逆戻りするリスクがある」と述べました。そして「世界経済は想像を超えるスピードで変化し、不透明感を増している。リーマンショックのときに匹敵するレベルで、原油などの商品価格が下落し、さらに投資が落ち込んだことで、新興国や途上国の経済が大きく傷ついている」と述べました。
そのうえで、安倍総理大臣は「現在直面しているリスクは、リーマンショックのような金融不安とは全く異なるが、危機に陥ることを回避するため、内需を腰折れさせかねない消費税率の引き上げは延期すべきだと判断した」と述べ、来年4月の消費税率の引き上げを再延期する考えを表明しました。
(首相 会見で消費税率引き上げ2年半再延期を表明 | NHKニュースより 2016/06/01 18:45)
参院選の勝敗ラインに関し安倍首相は、「連立与党で改選議席の過半数を目指す」との意向を表明した。今回改選となるのは121議席で、過半数は61議席となる。
会見で安倍首相は、消費増税の再延期について「これまでのお約束とは異なる、新しい判断だ。公約違反ではないかとのご批判があることも真摯に受け止めている」と話し、「アベノミクス加速か、後戻りするのかが参院選の最大の争点だ」と述べた。
首相はまた「総合的で大胆な経済対策を今秋に講じる」と語り、2016年度第2次補正予算案を編成し、秋の臨時国会での成立を目指す考えも示した。
少子高齢化対策や介護職員の処遇改善を柱とする1億総活躍社会の実現に向けた対策に関しては「アベノミクスの果実を含めて財源を確保する」と指摘。「赤字国債を財源に、社会保障を充実するような無責任なことはしない」と語った。
(消費増税延期、参院選で審判 首相「改選議席で過半目指す」 | ロイターより 2016/06/01 19:21)
首相は、消費増税を延期しても、基礎的財政収支の赤字を2020年度までに解消する目標は堅持すると述べた。
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