映画『桜桃の味』などで知られるイランを代表する世界的な映画監督、アッバス・キアロスタミ氏が7月4日、がんの治療のため訪れていたフランスのパリ市内で死去した。76歳だった。BBCなどが報じた。
キアロスタミ氏は、1940年生まれ。テヘラン大で映画を学んだ。ホメイニ師がパフラヴィー朝に代わる「イスラム共和国」の設立を宣言した1979年のイスラム革命の後も、多くの芸術家や作家が国を逃れるなか、キアロスタミ氏はイラン国内に留まり映画を撮り続けた。
1987年に、素人の子供を主人公にした「友だちのうちはどこ?」で注目される。その後、「そして人生は続く」「オリーブの林をぬけて」などでは、イスラムの厳しい社会と自然を詩的な映像で綴った。
作品のテーマは主にイランを中心とするものだったが、世界中の共感を呼んだ。1997年には、自殺の手助けをしてくれる人を探して回る中年男性を描いた「桜桃の味」が、カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを受賞した。