九電では電力使用率97%超。政府や電力会社は今年こそ節電を呼びかけるべきだったのでは?

なぜ2011年にあれほど(そして2012年も)「電力が足りない」「停電するかもしれない」という節電キャンペーンをおこなったにもかかわらず、ことしはそれがなさわれていないのか、ということです。だって、「原発がないと電気が足りない」から再稼働が必要なんですよね?だったら、原発の動く予定のない年こそよけいに節電が必要なんじゃないでしょうか。
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暑い暑いことしの夏

お盆も終わった今週、電力使用率が軒並み上がっています。

なぜお盆が終わって......、かというと、

基本的には電力使用率というのは

休日はそこまでは高くならないものなのです。

やはり、オフィスと工場が動いていて

人が決まった時間に活動する平日こそ、

電力の必要な時間が重なってしまい

おおきなピークができて、電力の使用率は上がります。

(オフィスではPCやサーバから出る熱も

 無視できないインパクトを持っています)

なので先週は全国各地で高温がつづいたものの

お盆休みのところも多かったので

そこまで電力供給については心配されていませんでした。

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しかしお盆の開けた今週、

8/19(月)には九州電力管内で午後4時台に97%、

8/22(木)も中部電力では午後2時台に96%と、

ひじょうに高い電力使用率を記録しています。

(夏でも冬でも、連休開け初日というのは

 オフィスの空気が完全に熱され/冷やされきっているので、

 特に電力が必要となる日です)

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ちなみに注意が必要なのは

たとえ電力使用率が97%だとしても、かならずしも

本気の余力が3%しかない、わけではないということです。

この電力使用率の「分母」はたえず変わりつづけうるものだからでます。

ですが、だからといって

「電力使用率なんてごまかしだ!」なんていうのもまちがっています。

その日いつでも立ち上げられるように準備しておく

発電所の数と発電量というのを、

電力会社の運転班の人たちは

昨年同日の実績や、当日の天気予報などをみながら

こまかく調整をしています。

それはムダをふせぎ、効率よく発電するための技術であり、工夫です。

試合開始時にベンチ入りするメンバーの人数を、

その日のコンディションにあわせて調整しているようなものですね。

なので、97%に届いたからといってすぐに

「すわ、停電!?」ということではありません。

ほかの選手を呼んできてプレイさせることになります。

(ですから、97%という数字だけを強調して

「やっぱり原発がないとダメなんだ」という

 論を展開するのは、もってのほかでしょう)

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ここで疑問なのは、

なぜ2011年にあれほど(そして2012年も)

「電力が足りない」「停電するかもしれない」という

節電キャンペーンをおこなったにもかかわらず、

ことしはそれがなさわれていないのか、ということです。

だって、「原発がないと電気が足りない」から

再稼働が必要なんですよね?

だったら、原発の動く予定のない年こそ

よけいに節電が必要なんじゃないでしょうか。

それに今後、たとえ一部の原発を再稼働していくことになったとしても

できる省エネの努力はつづけていくべきだというのは

だれにとってもあきらかなことです。

(この省エネというのは、

 熱中症になるまでエアコンをガマンしたりすることではありません。

 そういった方を増やしてしまった

 2011年の節電キャンペーンの罪は大きい、と思っています)

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では、ことしと、去年・おととしとの違いというのはなんでしょう?

この夏ははじめから、原発のあらたな稼働予定はまったくありません

というのは再稼働してもよいかどうかを判定する

原子力規制委員会の審査基準が

この7月にリリースされたばかりだからです。

すくなくとも1基につき半年はかかるといわれる審査を経なくては

原発の再稼働はできません

(全国で12基の原発が再稼働を申請して、審査を待っています)。

だからこの夏は福井の大飯原発3、4号機が動いているだけで、

それ以外はふえる予定がないのです。

これではまるで、政府も電力会社も

原発の再稼働予定のない夏はつよく節電を呼びかけない、と

みなされてもしかたないのではないでしょうか?

もしそうであるならば、

節電は電力を節約することが目的なのではなく

原発の必要性をひとびとに認識させるための材料なのではないか、

とさえ勘ぐりたくなってしまいます。

(げすの勘ぐりであることを祈ります)

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日本は原発のほとんどない状態(福井の2基だけ)での夏を

2012年、2013年となんとか乗り切ろうとしています。

脱原発を政策として固めたドイツよりも

実質的には脱原発がすすんでいる国なのです。

(もはや「電気が足りない」という論では

 原発の必要性をうったえることができないほどです)

この夏はあらたな再稼働予定がないのですから

それこそ節電が必要な年だったはずです。

それをきちんとアナウンスもせず、

ただ97%、96%と使用率が高まったときだけ

ニュースにして記録を残しておく、というのでは

過去2年間の節電のよびかけ、そしてそれにともなう

みんなの努力はなんだったのか?と脱力せざるをえません。

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さて、ここまで書いてきましたが、

ことしはどうやらほんとうに記録的な猛暑なので

ムリせずエアコンを使って、熱中症にならないように

気をつけてみなさん残暑をお過ごしください。

とくに体温調節の苦手な赤ちゃん、ちいさな子、お年寄りの

いるおうちでは気をつけてくださいね。

エアコンはこまめにON/OFFをくりかえすくらいならば

朝8時頃から28〜30度でつけっぱなしの自動運転にして

扇風機を併用するのが、ピークカットにもつながっておすすめです。

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終わりに、日経新聞さんの記事を引用します。

やはりというべきか、電力使用率の高さと原発が稼働していないことをリンクさせた書き方となっています。

日本経済新聞:九電管内の電力使用率、今夏最大の97%弱

(2013/8/20 0:20)

九州電力は19日、管内の電力使用量が今夏最大を更新したと発表した。午後4時台に1619万キロワットと、今夏で初めて1600万キロワットを超えた。供給力(1671万キロワット)に対する使用率は97%弱に上昇。電力需給状況も今夏で初めて「厳しい」水準に。九電は同日、停止していた松浦発電所1号機(長崎県松浦市、出力70万キロワット)の運転を再開しており、供給不足を紙一重で回避した格好だ。

石炭火力発電の松浦1号機はボイラーの蒸気漏れが原因で、2日に運転を停止。破損や変形のあった配管36本を交換した。3月に停止した石炭火力発電の苓北1号機(熊本県苓北町)は配管の交換数がこの10倍を超え、再開まで3カ月近くかかった。

この配管は蒸気タービンを使う石炭火力や石油火力では「共通の弱点」(九電)という。タービンを回す蒸気を作るために加熱するボイラー内の配管は、金属素材の劣化が避けられない。

原子力発電所の長期停止でフル稼働が続く火力発電所は定期点検をできるだけ先送りしている。このため、他の火力発電所で同様のトラブルが発生する恐れもある。九電は20日も使用率が96%と「厳しい」需給水準を予想している。

(この記事は、2013年8月22日の「もんじゅ君のブログ」より転載しました)