シューティングブレークと呼ばれる2ドアのワゴンはあまり多くはないけれど、実用性とスポーティさが交錯するそのスタイルはなかなか魅力的だ。トヨタが発表した「86 シューティングブレーク・コンセプト」もそれに違わず、ベースとなった2ドア・クーペの機械部分には変更を加えずに、ルーフをワゴン風に後方へ延長してリアにハッチバックを設けた。実際に走行も可能であり、トヨタのテストコースで試走を行ったという。さらにトヨタ「86」とスバル「BRZ」の生みの親である多田哲哉氏からお墨付きまで得ている。同氏は出力アップという点では強硬なまでに反対し、当初の86のコンセプトを守り続けている人物だ。
トヨタとスバルの兄弟車にシューティングブレークのコンセプトが登場したのは、これが最初ではない。スバルは2013年の東京モーターショーに「クロス・スポーツ・デザイン・コンセプト」というシューティングブレークを出展したことがある。しかし、トヨタのバッジを付けたものとしては今回が初めてだ。
それでは、この86 シューティングブレーク・コンセプトはどのように誕生したのだろうか? トヨタによると、このモデルは同社のオーストラリアのデザイン・チームが生み出したものだという。同チームは1/4スケールのクレイモデルを作り、2014年に多田氏が訪れた際に披露した。それに感銘を受けた多田氏は、日本で彼が厳選した職人にフルスケール・モデルを製作させたのだ。
オーストラリアの雄大な自然を愛するデザイン・チームは、サーフボードやその他の嵩張るスポーツ用具を載せるためにはもっと長いルーフが最適だと閃いた。それはそうなるだろう。一方、多田氏やトヨタ本社側としては市販化への期待を抑えようとしており、これは単にデザインの研究のために「試しに製作してみただけ」としている。
しかし、例えばマツダがニューヨーク国際オートショー 2016で「MX-5(日本名:ロードスター)」に、異例のそして魅力的なタルガトップを採用して人々を驚かせたように、自動車メーカーはどんな可能性も完全に否定するわけではない。マツダが「MX-5 RF」を公開して自信を付けた世界では、トヨタもこのスポーツ・ワゴンを市販化する勇気が持てるかもしれない。我々が一緒になってそれを望み、大きな声を上げれば、トヨタを動かすことも不可能ではないだろう。
翻訳:日本映像翻訳アカデミー
(2016年5月8日Autoblog日本版「トヨタ、実際に走行可能な「86 シューティングブレーク・コンセプト」を公開」より転載)
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