父親の心無い行動に傷ついた娘と母親が、ネガティブな経験をポジティブな力に変えている。
アメリカ・バージニア州に住むエイヴリー・サンフォードさんは5月に、自宅前にトレーラー付きの車が停まったことに気が付いた。
地元のテレビ局WTVRによると、車を運転していたのは父親で、レンタルしたトレーラーには8万枚以上の1セント硬貨(1〜2円相当)が積まれていた。
それはサンフォードさんの養育費だった。サンフォードさんは18歳の誕生日を迎えたばかりで、父親は最後の養育費を全て1セント硬貨にして、サンフォードさんと母親が暮らす家の前に放置し、走り去った。
「親からこんな扱いをされると、子どもはとても傷つきダメージを受けます。それは子どもが何歳であろうと変わりません。幼かろうが大人であろうが、親の行動はいつでも子どもに何らかの影響を与えます」とサンフォードさんはWTVRのインタビューで答えている。
父親の行動で傷ついた一方で、サンフォードさんと母親は大量の1セント硬貨を何かポジティブなものにしたいと考え、全額を地元のDV被害者のためのシェルター「セーフ・ハーバー」に寄付することを決めた。
セーフ・ハーバーは、DV被害者や、性的暴力の被害者、人身売買の被害者を支援する団体だ。
最高責任者のキャシー・イースターさんは6月10日、「とても素晴らしい出来事が起きた」とハフポストUS版に語った。
イースターさんによると、セーフ・ハーバーはサンフォードさん親子から850ドル(約9万3000円)の寄付を受け取った。
その後、この出来事が報道などで広がると、他の人たちからもオンラインでの寄付申し込みが相次ぎ、10日までに5000ドル(約54万7000円)の寄付が集まったという。
イースターさんは「彼らの友人のひとりが同額を寄付してくれましたし、他の人たちも寄付を申し出てくれました。コメントの欄には『アヴェリーさんと彼女の母親のために寄付したい』と書かれていました」と述べる。
寄付はまさに必要なタイミングでの支援だったという。
「新型コロナウイルスのパンデミックの間に、DV被害が増えました。特にパンデミックの初めから虐待を受けていた人たちは、加害者がいる自宅に閉じ込められ、出ることができませんでした」
「そして外出規制が緩和された後、波が押し寄せるように大勢の人が助けを求めてきました。しかしそれと同時期に国の補助金が打ち切られました。ですから、この贈り物は私たちにとって、本当に素晴らしい助けになりました」とイースターさんは話す。
イースターさんはまた「このひどく屈辱的な経験を、何かポジティブなものにしようとするエイヴリーさんとお母さんの決断をとても美しいと感じた」とも述べた。
一方、サンフォードさんの父親は「感情に任せて行動してしまったが、娘との間の溝を深めるようなことにだけはなって欲しくない」とWTVRに話している。
エイヴリーさんは父親と何年も話しておらず、彼の行動にがっかりしたものの「今回の出来事から学ぶことはできる」と述べている。
また、サンフォードさんの母親はこの一件を地元の警察に通報したが、警察によると起訴予定はないという。
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。