71歳からのピクシブが、母の「世界」を急速に広げた。体験談に共感広がる

誰かに選ばれなくても、自分で世に出せるんだよ。71歳から始めましたって、世に出してみたらいいよ。
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Someluさんの母親が描いたアトム
SomeluさんのTwitter投稿から

FacebookもTwitterもしたことのない71歳の母親が、娘のすすめでイラストの投稿交流サイト「pixiv Sketch(ピクシブスケッチ)」を始めたら、世界がグッと広がったーー。

東京都の30代会社員女性「Somelu」さんが投稿したそんな体験談が、Twitterで話題になっている。いきさつを聞いた。

母とは離れて暮らしているのですが、以前からLINEでちょこちょこと連絡を取り合っていました。

pixiv Sketchを勧めたのは、6月23日、母からのLINEがきっかけです。

母が見ていたテレビ番組で、指定の電話番号にかけると、抽選で現金が当たるという企画をやっていて、当てたいから私にまでその電話番号にかけてほしい、かけるだけで応募になるし、当たる確率が高くなると頼んできたんです。よく調べると、その番号にかけただけでお金がかかるという仕組みでした。

なぜ、母(71歳)に急にPixiv Sketch勧めたのかというと、きっかけは母から頼まれた連絡だった。テレビの企画で現金が当たるから、00678から始まる番号に電話かけて、と。ググったら、一通話ごとに54円とられるサービスだった。その番組ではどこまで説明してたのかはわからない。(続く#71歳からのPixiv

— Somelu (@Somelu01) 2018年6月23日

母の気持ちも分からないわけではないけれど、お金を当てるために電話をかけて、そして人にまで頼んでーーという時間が、何も生み出さない、と思ったんです。電話にかけて生み出されるお金は、企画者の元に集まるだけだし。母にそれでいいの?と、返信しました。

そのときのやりとりのなかで、母が「ラジオ番組で川柳を募集していて、それにも応募してるんだけど、選ばれないの」と漏らしたんです。

母は、小さい頃から絵を描くことが好きで、 同好会に参加したりどこかで発表したりするほどではないですが、私が子どもだったとき、地元のこども会のチラシに挿絵を描いていたり、弟が買ってくる少年ジャンプのイラストコンテストに応募したりしていました。

お金を当てるために電話をかけることに時間を費やすより、もともと絵を描くのが好きなのだから、自分で創作したものを世に出して誰かに喜んでもらって、 母にとって生きてる時間を有効に使えるのでは、と思ってPixiv Sketchに誘ってみたんです。

わたしも創作活動はしていて、BOOTHというサービスを使い、短時間で電子書籍を自己出版した経験があります。執筆から出版までその日のうちに出せるので、「マッハ新書」とも呼ばれています。在庫を抱えるリスクがなく、途中のものでも、まずは出して後からアップデートすることができるので、自分なんか出していいのかなと、不安に思ってた人でも、まず、出してみることができるのが利点だと思います。

だから、母にも言ったんです。

「自分が出したいものを、誰かに選ばれなくても、自分で世に出せるんだよ。お母さんは、写真を撮るのも、絵を描くのも好きなんだから、71歳から始めましたって、世に出してみたらいいよ」って。

今は買ってくれる人に直接届けられるんだよ。お母さんは、写真を撮るのも、絵を描くのも好きなんだから、71歳から始めましたって、世に出してみたらいいよ。いきなりまとまった量や、すごい絵を描くのなんてたいへんだから、途中でも、練習からどんどん発表したらいいよ。(続く #71歳からのPixiv

— Somelu (@Somelu01) 2018年6月23日

わたしも、Pixiv Sketchでもつたないながら絵を投稿しています。恥ずかしいけれど、わたしみたいな絵にも「いいね」をくださる人もいます。作品を出すのは勇気がいりますが、けなされないし、「いいね」ももらえるし、もっと描こう!って雰囲気があるのはすごく素敵な世界だな、と思ってました。

次の日には自分で、好きなアトムの絵を描いて、自分のアカウントにアップして、まだ操作になれるのは大変だけど楽しいと言っています。私もとても嬉しいです。フォローの仕方を教えたら、フォロー返しもしてもらったようで、ここの住人になった感じ!いいねー世界が広がるねー、と喜んでいました。

どんな出来でも、作品を出して皆から喜ばれて感想をもらってモチベーションが上がるという場は、母のような70代の人たちにも楽しい創作を促す仕組みになっていると思います。母とやりとりしてくださってる方には、本当に心からお礼をお伝えしたいです。

なにかを生み出して、他の人に喜んでもらい、他の人の作品に嬉しい!を伝えるという循環を、楽しくゆっくり広げていけると、いいなと思います。