英サウサンプトン大学の科学者が、ほぼ永久にデータが消えない「5次元データーストレージ」を開発しました。この5次元ストレージは、ガラスにフェムト秒レーザーでナノ構造を書き込む技術を使ってデータを記録します。記録したデータは読み出し専用となるものの、最大360TBものデータを、ほぼ永久に保存できるとのこと。
サウサンプトン大学では2011年にフェムト秒レーザーを用いたナノ構造化ガラスの製作に成功し、2013年には300KBのテキストデータを 5D 保存することにも成功していました。今回の発表ではその記録容量を最大360TBにまで引き上げ、「世界人権宣言」やニュートンが記した「光学」、「大憲章(マグナ・カルタ)」、「欽定訳聖書」といった書物を実際に記録。実用段階に入ってきたことをアピールしています。
5D保存の仕方を大雑把に説明すると、ガラス基材の中に 5マイクロメートル間隔で重なる3層構造で、ナノサイズのドットに大きさや方向の変化を加える事で5次元構造を構成します。記録したデータはマイクロスコープとポラライザー(偏光子)の組み合わせで読みだすことが可能です。
5次元ストレージは基材がガラスでできているため耐久性が高く、保存環境を選びません。大学によると約1000℃までの耐熱性があり、常温ならほぼ永久に、さらに190℃の高温に晒したとしてもおよそ138億年ものデータ保持能力があるとのこと。
研究チームのピーター・カザンスキー教授は、「将来の世代にまでデータを残せる技術を開発できたことに興奮している。この技術は人類が得てきた全知識を、未来永劫にわたり残すことができるだろう」とコメントしています。なお、サウサンプトン大学はこのストレージ技術を商業利用すべく、製造面でのパートナーを探しているとのこと。
ちなみにこの技術、ガラスに大量にデータを記録できるため、開発段階からしばしば映画『スーパーマンII』のメモリー・クリスタルに例えられています。
(2016年2月17日 Engadget日本版「永久に消えない「5Dデータストレージ」を開発。360TBものデータを5次元ナノ構造化」より転載)
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