小山田圭吾さんの楽曲が使えなくなったことを受けて、代打をどうするか。SNSで話題が持ちきりだ。約4分間の曲が使えなくなることを受けて、「4分33秒」という曲を代打で使ってはどうかという声も上がっている。一体、どんな曲なのか?
■小山田さんが担当したのは「冒頭の4分程度」だった
「コーネリアス」名義で活動するミュージシャンの小山田さんは、かつて「渋谷系」と呼ばれた音楽の第一人者。東京オリンピック開会式で音楽を担当する予定だったが、7月14日の発表直後から、学生時代に「いじめ加害者」だったことを告白する90年代の雑誌記事の内容が拡散。「オリンピックにふさわしくない人選」と批判が集まったことで19日、組織委員会に対して辞退を申し出た。
毎日新聞によると、組織委の武藤敏郎事務総長は19日の記者会見で小山田さんの楽曲は使用しないと説明。小山田さんが担当したのは「冒頭の4分程度」と明らかにしていた。
これを受けて、小山田さんの音楽を使えなくなった開会式冒頭の約4分間をどうするか。SNS上ではさまざまなアイデアが出たが、ほぼ演奏時間が同じジョン・ケージさん作曲の「4分33秒」ではどうか、という声が上がった。
■「4分33秒」とは?デペッシュ・モードが演奏したことも
ジョン・ケージさんは20世紀に活躍したアメリカの現代音楽家で、1992年に亡くなっている。デジタル大辞泉などによると、ピアノの弦にゴムや金属などを挟んだプリペアードピアノ、騒音、あるいは易などの東洋思想を取り入れた偶然的・不確定的音楽は、現代の音楽界に大きな影響を与えたという。
代表作である「4分33秒」は1952年に初演された。3楽章から成るが、ペータース社が出版する楽譜によると全楽章は全て「TACET (休み)」となっていて音符はない。計4分33秒の演奏時間は指定されているが、演奏行為が全くないという前衛的な内容だ。
2014年の横浜トリエンナーレではオリジナル楽譜を展示。公式サイトでは以下のように解説している。
「代表作《4分33秒》は、三つの楽章から成るが、楽器を前にした演奏者が4分33秒の間、何も演奏しないという無音の音楽である。 それは、通常は表現要素として認識されず、忘れられている沈黙の世界についての覚醒をうながす行為でもある」
この曲は現在に至るまで、多くの音楽家に演奏されている。イギリスのMUTEレーベルは、デペッシュ・モードやニュー・オーダーら50組以上のアーティストが「4分33秒」を独自の解釈で演奏したボックス・セット「STUMM433」を2019年10月に発売している。
SNS上では「もう時間無いし間に合わないしジョン・ケージの4分33秒で行くしかない」「曲流れずざわつく開会式で各自がオリンピックとは何なのかを考えたら良い」という声が出ている。