今や日本人の3人に1人はがんで亡くなる。日本人死因の1位を1981年以来占め続けているがんの動向は人々の身近な関心事である。2014年に新たにがんと診断される人(罹患数)は88万人(男性50万人、女性38万人)、死亡する人は37万人(男性22万人、女性15万人)と、国立がん研究センターのがん対策情報センターが推定し、7月10日にがん情報の総合サイト「がん情報サービス」で公開した。
その年のがんの動向について予測して公表するのは初めて。1975年以降のがんの推移を基に、人口の高齢化なども考慮して予測した。同情報センターは今後、毎年春にその年の予測数を公開する。「予測精度を検証しつつ、ニーズに沿ったがん統計情報を整備していく。がん対策の目標設定や評価への活用など、一層確実ながん対策に寄与したい」としている。
現在の最新の統計は、罹患数が2010年の推計80万5千人、死亡数が12年の36万1千人で、集計まで時間を要して数年遅れの公表になり、現在と直近の変化を知ることができなかった。予測数値は、現行のがん対策の継続を前提に算出するため、後に公開されるその年の実測値と突き合わせれば、がん対策の評価・分析の手がかりにもなる。
14年のがん罹患数は胃と肺、大腸の順で、いずれも13万人前後。男性では胃がんと肺がんが罹患数9万人でほぼ並び。女性では乳がんの罹患者が8万7千人と飛び抜けて多い。死亡数では、肺がんが7万7千人で、胃がんと大腸がんの各5万人を大きく上回った。治療の難しい膵臓がんの死者数は3万2千人で、肝臓がんと入れ替わって4位になった。
関連リンク
・国立がん研究センター プレスリリース