腰痛・肩こりによる代償...日本全体で、3600億円!?

ここ最近、腰痛・肩こりに悩まされているという同僚のKくん。気づくと、仕事中もかなりの頻度で腰や首に手をあてたり、からだを伸ばしたりしています。きっとみなさんの周りにも弊社Kくんのような人が少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。
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ここ最近、腰痛・肩こりに悩まされているという同僚のKくん。

気づくと、仕事中もかなりの頻度で腰や首に手をあてたり、からだを伸ばしたりしています。

きっとみなさんの周りにも弊社Kくんのような人が少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。

そんな彼らの腰痛や肩こりが、本人たちの仕事のパフォーマンスをどのくらい下げ、最終的にどのくらいの経済的な損失になっているのか?

そんなこと、ふつうは考えないですよね。

でも、ふつうの人があんまり考えないこういうことを考えるのが、私たち研究者の至福の瞬間なのです・・・!

ということで、今日は腰痛や肩こりと経済的な損失のお話です。

まずは、健康日本21推進フォーラム が2013年に行ったインターネット調査(1)をご紹介します。

この調査では、健康な時の自分の仕事のパフォーマンスを100点満点として、健康状態による不調時の得点を自己評価してもらっています。

集計をとると、腰痛、首・肩こりがあると生産性は平均でおよそ70点まで下がり、やる気や集中力も65点まで下がることがわかりました。コミュニケーション能力も73点まで下がっています。

つまり、日本の社会人は、腰痛や肩こりが原因でさまざまな仕事のパフォーマンスが約30%も下がってしまうということなんです。

では、これはお金に換算すると一体いくらになるんでしょうか?

在日米国商工会議所(ACCJ)が、その経済的な損失がいくらになるかを2011年に調査しています(2)。それによると、「病気・ケガによる経済的損失額は約3.3兆円、慢性的疼痛および精神疾患が経済的損失の2大要因」と報告されています。

ここで言う「慢性的疼痛」がまさに、背中、首、肩などの慢性的な痛み、偏頭痛、関節炎等のこと(疾病の後遺症なども含まれます)なのですが、労働生産性の低下による経済的損失を引き起こす要因を疾病別に見てみると、この慢性的疼痛が原因の45%近くを占めているのです。この実態をさらに詳細に分析してみると、日本全体での慢性的疼痛による経済的損失額が試算されます。その試算額は...なんと、約3600億円!

この額はあくまで控えめな試算であり、治療費などの経済負担は含まないものです

これに医療費まで上乗せしたらどうなるか...考えると恐ろしいですよね。

最後に、腰痛、肩こりの予防・改善のポイントをいくつか示します。

1.足裏は床につける

ぶらぶらせず、かつ膝の角度が90度より小さくならない程度に。

2.椅子には浅過ぎず、深すぎない程度にすわり、ひじの角度は90度にする。

背もたれは軽く触れるくらいにします。深すぎると背もたれによりかかってしまい、腰に負担がかかります。

3.目線は真っ直ぐか、少し下くらいにする。

目線が下すぎると前屈みになってしまいます。

↑姿勢を意識し始めた人の図(著者本人です)

(私は少し座高が高いので(笑)、モニターをちょうどいい高さにするために本を積みまくってます。)

出来るオトナへの道も日々の仕事の「姿勢」から、です。

参考文献

(1) 健康日本21推進フォーラム「疾患・症状が仕事の生産性等に与える影響に関する調査」

(2) 在日米国商工会議所「疾病の予防、早期発見および経済的負担に関する意識調査」報道資料

※参考

疾病就業による損失: 健康問題による就業中の生産性低下(例え集中力が低下し、通常の生産性を発揮できない)の経済的価値 = [前月の正常に機能しなかった時間数] × [時給(年収÷48週÷前月実稼働時間数) × [人口乗数(実際の全国人口に近い数字を得るための乗数)]

平均的な就労日数を年48週、週5日とし、合計年平均240日稼働することを前提