被災地のみなさんを支え、勇気づけてきた「言葉」

ハフィントンポストで取材させていただいた被災地の皆さんに、震災からの歳月、彼らを支え、勇気づけてきた「言葉」を伺った。
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The Huffington Post

4年前、私は言葉を使う仕事をしているのに、眼前に広がる光景を表現することができなかった。つい数日前まで人々の往来、車両の喧騒、子供の遊ぶ声が響いていたであろう街並みは、どす黒く色を失い、生命の営みをいっさい感じることができない風景に変わっていた。ガレキが覆いつくす故郷で、背中を丸め立ち尽くす被災者に、私は励ましの言葉さえかけることができなかったのである。

自分から生み出されるいかなる言葉も意味を失うほどの壮絶な状況にあって、むしろ東京から来た私たちに言葉をかけてくれたのは、他ならぬ被災者の方たちだった。「よく来てくれたね」「お腹すいてないかい?」一番大変な状況にある被災者の方たちがかけてくださる「言葉」に、よそ者である自分たちが力をもらうことは、被災地を訪れた多くの方が経験したことだと思う。

あれから4年。今回、ハフィントンポスト編集部が取材させていただいた被災地のみなさんに、震災からの歳月、彼らを支え、勇気づけてきた「言葉」を伺った。

「嫌です。俺はあきらめたくないです。僕は双葉の人間ですから」

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元東電社員である吉川彰浩さん(34)に力を与えたのはこの言葉だった。吉川さんは、震災時に福島第二原発に勤務していて、第一原発と同様の状態に陥った第二原発の復旧にあたっていた。

福島第一原発の事故により、東電社員は地元住民からもバッシングを浴びるようになっていた。辛い日々の中、吉川さんは入社して日も浅い、10代の地元採用の後輩社員に、「もうお前、辞めて次の仕事探せよ。あとは俺らがやるから」と告げた。するとその後輩から返ってきたのが、「嫌です。俺はあきらめたくないです。僕は双葉の人間ですから」という言葉だったのだ。

自分もあきらめない。吉川さんは東電を退社した後、原発作業員を支え、作業員と地元の方が共に豊かに暮らしていけるような地域づくりに向けて活動している。今年、事故後はじめて地元に住む人たちによる福島第一原発の視察を実現した。この視察にハフポスト日本版も同行し、地元の人たちが第一原発に何を見たのか取材している。

「黒字になったので気仙沼市に納税できます」

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気仙沼の女性たちが手づくりしたニットを製造・販売する「気仙沼ニッティング」。代表取締役社長の御手洗瑞子さんが、震災後初年度の報告で、編み手さんたちに黒字を報告した際に言った言葉。これを聞いた編み手さんたちが「わっ」と沸いて「これで、肩で風を切って気仙沼を歩けます!」と力がみなぎったという。

東日本大震災をきっかけに誕生した、気仙沼ニッティングが手がけた最高級ニットは、全国から注文が寄せられている。小さなベンチャー企業が震災後の苦境をどう乗り越えどのように成長してきたのか、御手洗さんにお話しを伺った。

「ひとつひとつの小さな事例の積みあげは、いつか日本を変えるうねりになる」

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震災で打撃を受けた宮城県石巻市の旧雄勝町。廃校となった小学校を再生し、農漁業や自然体験ができる宿泊施設「モリウミアス」に生まれ変わらせようと準備を進めている公益社団法人「sweet treat 311」の代表理事・立花貴さん(45)を支えた言葉である。

「政治が悪い、仕組みが悪いと言っても仕方がない。すぐに制度を変えようという前に、まずはできることを一つ一つやって、実績を積み重ねる。それがやがて大きなうねりとなって、結果的に人を変えていくと信じています」

衰退する地方の一次産業を再生しようと意気込む、立花さんの息の長い取り組み取材している。

「人とのつながりがすべて」

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リチャード・ハルバーシュタットさんはイギリス出身。大学院を卒業後、20年以上を教員として石巻で過ごしている中、被災した。被災時にイギリス大使館から帰国勧告を受けたが、自分の居場所はここだ、と主張して石巻に残ったリチャードさん。

昨年教員を辞め、現在は市の外郭団体で、英語で震災について発信する仕事に就いているリチャードさんに、海外からみた被災地の姿についてお話しを伺っている。

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震災から4年目にあたり、ハフポスト日本版は困難と悲しみの中にあって、決して歩みを止めなかった被災地の方たちを取材しています。その強い気持ちと前を向く姿は、4年前に外から来た人々を力づけてくださった被災者の皆さんの言葉と同じように、力強く響いてきます。ハフポスト日本版は、これからも3月11日だけではなく、継続的に被災地の状況を発信してまいります。