ミネソタ州の司法当局は、ジョージ・フロイドさんが死亡した事件で、現場にいた4人の警官のうち、残り3人の元警官を起訴したと発表した。
起訴されたのは元警察官のトゥ・タオ容疑者、トーマス・レーン容疑者、J. アレクサンダー・キング容疑者。
6月3日に記者会見したミネソタ州のキース・エリソン司法長官は、3人をジョージ・フロイドさん死のほう助罪で起訴したと明らかにした。
この事件では、フロイドさんの首を膝で押さえつけた元警官のデレク・ショーヴィン容疑者が、ヘネピン郡検察によって第3級殺人罪で起訴されている。
エリソン司法長官は会見で、ショービン容疑者を第3級殺人罪からさらに重い第2級殺人罪に切り替え、保釈金を50万ドルから100万ドルに引き上げたことも明らかにした。
ショーヴィン容疑者の罪を、フロイドさんの家族が求めていた第1級殺人罪ではなく、第2級殺人罪にした理由を聞かれたエリソン司法長官は「第一級殺人罪を適用するのに必要な『計画的かつ意図的』な殺人の基準に当てはまらなかった」と説明。代わりに、重暴行罪とその過程で事前に意図せずに殺害した罪で起訴したと述べた。
エリソン司法長官はまた、多くの人たちが感じている痛みを無くすためには、社会を変えていかなければならないとも語った。
「とても大切なジョージ・フロイドさんの命が失われました。我々は彼と皆さんのために、法の正義を求めていきます」
「その一方で、起訴が多くの人たちが感じている痛みや喪失感を癒すのは難しいだろうと私は感じています。痛みを癒すために必要なのは、社会に正義と公平さを築いていくことです。それには時間と労力がかかります」
■フロイドさんの家族は歓迎
フロイドさんの家族の弁護士を務めるベン・クランプ氏は、今回の起訴を歓迎する声明を出した。
「これは正義のための大きなステップです。重要な決定がジョージ・フロイドさんの遺体が埋葬されるまでになされたことを、私たちは喜んでいます」
ミネソタ州のティム・ウォルツ知事は5月31日に、事件の責任者をヘネピン郡のマイク・フリーマン検事からエリソン司法長官に変更した。
エリソン司法長官は進歩的な考え方を持つ元下院議員で、人権派の弁護士としても知られる。ウォルツ知事はフロイドさんの家族と話をした後に、キース司法長官に変更する決定をしたと説明している。
フロイドさんは5月25日に、ショーヴィン容疑者によって首を9分近く地面に押さえつけられ、死亡した。
警察によると、フロイドさんは偽の20ドル札を使おうとした容疑で逮捕された。逮捕時の様子を撮影した動画には、「どうかお願いだ、息ができない」と訴えるフロイドさんを無視して、ショーヴィン容疑者がフロイドさんの首と背中を押さえ続ける様子がうつっている。
フロイドさんの体が動かなくなり、周りにいた人たちが他の警察官にフロイドさんを助けるよう求めた後にも、ショーヴィン容疑者はフロイドさんを押さえ続けていた。
別の動画には、3人の警察官が地面に倒れているフロイドさんを取り囲む様子もうつっていた。
ミネアポリス警察は当初、フロイドさんが逮捕時に抵抗したと主張していたが、CNNが入手した監視カメラの映像に、フロイドさんが抵抗する様子はうつっていなかった。
相次ぐ警察による黒人の殺害事件に、事件の後、警察の暴力や人種差別に抗議するデモがアメリカ全土や世界各国に広がった。
4人の警察官は解雇され、ショーヴィン容疑者は5月29日に逮捕されたが、フロイドさんの家族や抗議デモの参加者たちは、全ての警察官の逮捕と殺人罪での起訴を求めていた。
ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。