板橋区議会最大の山場とも言える次年度予算審議。その中でもさらに天王山と言える総括質問。60分に渡る一問一答の真剣勝負です。昨年に引き続き今年も立たせていただきました。その中でも重要な論点について、何回かに分けて書きたいと思います。
まずは今回の総括質問で無所属を除く全会派が質問した「ホタル生態環境館」をめぐる問題についてです。
■「2万匹いる」とされてきたホタルが、調査の結果「2匹」しかいなかった
問題の概要を簡単にご説明します。
高島三小の隣にある「ホタル生態環境館」は、毎年夏になるとゲンジボタル・ヘイケボタルの光の乱舞が見られる施設として有名でした。私も楽しみに見に行っていたものです。
このホタル生態環境館ではこれまで25年間に渡って、成虫が産卵をし幼虫を育てて成虫へというサイクルを維持する「累代飼育」を続けてきたとされていました。
(現在では「見学のご案内」以外はすべて工事中になっています)
しかし、この生態環境館の担当職員から区への報告では「およそ2万匹のホタル幼虫がいる」とされてきたのですが、1/27に行われた調査では、実数でゲンジボタル幼虫が2匹のみ、推定数でも23匹と、極めて少ない数しか発見できませんでした。
調査の経緯は、既に区が発表しています。
以下は総括質問の際に使用したスライドです。上記の区の報告をまとめたものです。
調査方法は、上図の赤い四角(25cm×25cm)のポイントで...
この網を沈め、枠内に入ったものを網に入れ込んでホタルの幼虫が何匹いるかを調べる「マクロベントス法」と呼ばれるものです。
この調査方法が適切でないと主張した議員もいましたが、2万匹いるところを網ですくえば、それだけでもう大量の幼虫が入っているのが当然でしょう。
仮に調査方法を変えたら10倍見つかったということがあったとしても、20匹にしかなりません。誤差レベルの違いです。
「2万匹のはずが、2匹(的なレベル)しか見つからなかった」
これが現実だと受け入れなければ、その後の話がまったくできません。
ホタルを愛してきた方々からすればつらい現実でしょうが、この点はもう飲み込まなければならないものだと私は思います。
■明らかにすべき2点:「なぜこうなったのか」「累代飼育はいつまで維持できていたのか」
その上で、明らかにしなければならないことは2点です。
まず「なぜこうなったのか」。
当然明らかにすべき点ですが、なぜか総括質問3日目の最後のほうで私が質問するまで、この質問をした議員はいませんでした。
答弁は、一言で言えば「不明である」ということでした。
2点目は「累代飼育はいつまで維持できていたのか」。
これはどういうことかと言いますと、2/19の区民環境委員会で「成虫を持ち込んでいたという証言がある」という答弁があったことが背景にあります。
わざわざこういう答弁をするということは、区は「2万匹が激減したタイミングはこの冬ではなく、もっと前なのではないか」と疑っているということなのではないか、と当然考えられるわけです。
累代飼育が維持できていたのはいつまでかという質問に対し、激減した時期はやはり「不明である」ということでした。
つまり、現時点では、大事なことは何もわかってないということです。
現在、区から警察への相談などもされており、調査中であると理解すべきではありますが、区が明らかにすべきはこの2点であるということを私は強調したかったわけです。
■実態解明と無関係にホタル館の存廃検討など、あり得ないだろう!
ホタル館に関する質問の最後に、事前通告していない質問をしました。
他の委員の質問に対する答弁で、本件の実態解明とは関係なく「いたばし未来創造プラン」に示された「ホタル館は廃止を含めた検討を行う」という記述に従って、平成27年度中に結論を出すという答弁がありましたので、この点を改めるよう求めました。
ホタル館の問題がこれほどまでに混乱している最大の要因は、区と住民・関係者の間の信頼関係が完全に崩壊していることにあります。
その経緯はともあれ、信頼回復のためのアクションは区のほうから起こさなければ始まらないでしょう。
まずは実態解明をきっちり行い、その後にその結果を住民・関係者としっかり共有して、その上でどうするかを考える。
おそらくホタル館不要論も少なからず出るでしょうが、それでも残したいと多くの住民が思うかどうか。
どういう形なら続けられるか。あるいはやめるか。
そうした議論をしっかり住民・関係者を巻き込んだ上で、ホタル館のあり方をゼロベースで検討する。
この順番でなければ、信頼回復などかなわないでしょう...!
平成27年度中ということで時間はあるわけですが、だからといって「存廃は実態解明と無関係」と答弁するなど...。
「信頼関係の構築」こそが基本中の基本だと、なぜわからないのか。理解に苦しみます。
実態調査がどういう結果になるにせよ、住民・関係者のホタルへの想いを無にしないような進め方を、今後とも求めていきます。
(2014年3月25日「中妻じょうたブログ」より転載)