来年、2016年に行われる予定の台湾総統選は当初女性対決、民進党の蔡英文氏と国民党の洪秀柱氏の対決、どちらが勝っても台湾史上初の女性総統誕生と見られていた。
が、選挙2か月前に予想外の波乱。突然国民党候補の洪秀柱氏が辞退を余儀なくされた。
今回は、突然の候補者変更と各候補について見ていきたい。
10月9日に公表された世論調査では、民主進歩党(民進党)の蔡英文主席が支持率48.6%に対して与党・国民党の候補者である朱立倫主席は21.4%とダブルスコアで民進党の蔡氏有利と見られていた。支持率で劣っている焦りからか、中国に寄りすぎた発言や様々な問題発言を繰り返し馬英九総統から退陣を求められ臨時党大会で総裁候補交代を決定した。
国民党の新しい総統選候補は新北市市長で国民党主席の朱立倫氏、国民党内での評価も高くやり方によっては逆転勝利も有り得ると見られている。
-蔡英文とはどのような人物か
-その蔡氏に対する朱立倫氏とはどのような人物だろうか。
-せっかくなので洪秀柱氏も少しだけ。
今後は、蔡氏と朱氏を中心に戦いが行われるが、その行方に大きくかかわるのが中国である。
中国と台湾の関係はどうあるべきか。政治的に経済的にどのような距離をとるべきか。また、11/7に馬英九総統と習近平国家主席の会談が、台湾総統選にどのような影響を及ぼすのだろうか?
筆者の考えでは、朱氏が勝てばもちろん中国との距離は更に近づくが、蔡氏が勝ったとしてもそれほど中国との距離が遠くなるようには思えない。
もちろん、民進党・蔡氏が勝った場合に中国は軍事演習等で台湾を威嚇することはあるだろうが、現在の経済状況で台湾を全く無視することはできない。
台湾にとっては個別に厳しい状況は生まれるだろうが、中国以外とも幅広く貿易を行う事で中国よりも先に発展した台湾にとっては、全ての状況が想定し得る範囲内ではないだろうか。
加えて、中国との接近を考える国民党にとっては現在の国際情勢は大きな足かせになっている。
TPPが始まる事、日本で安保法政が可決し他国との軍事協力がしやすくなった事、南沙諸島における周辺国の結束。これら全ての根幹には中国に対する周辺国の不信感があり、その不信をはねのけ中国を擁護する道理を台湾国民は持ち得ないだろう。
現状のまま選挙戦に突入すれば民進党蔡氏が勝利するに違いない。それをひっくり返すには大きなターニングポイント、例えば蔡氏の金銭・異性トラブルやアメリカやイギリスに行ったような中国の桁外れの経済取引等が無ければ厳しいかもしれない。
だからこそ、国民党と朱氏自身がどのように台湾国民にアピールをしていくのかを注視していきたい。
-毎回、親日親中の候補が激突する台湾総統選挙、このような構図になった経緯を次回の記事で配信します。
編者:
中原 慎介(なかはら しんすけ) 日本政策学校 第2期生
前船橋市議会議員
常に首長に賛成しかできない地方議会に危機感を持ち首長に対し是々非々で臨む重要性をうったえる。行財政改革を通じ地域の活性化に取り組む。
柔道初段、プロキックボクシング3戦、 テコンドーは歴20年以上で世界大会日本代表(スーパーヘビー級)という 経歴の持ち主。