2016年の春は特別な春にしよう。想いを寄せる人がいると日本の子どもへ、エールを

貧困家庭は親の「自己責任」という意見もあります。でも、親が悪いからという理由で、子どもたちを放っておける社会は無責任です。
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年が明け、春になると新年度がやってきます。子どもの卒業や入学という大きな節目は親にとっても大切なものです。

私の息子はちょうど昨年が小学校入学の年でした。海外在住の今、日本の小学校には行っていませんが、土曜日に通う日本語補習校1年生となったので、日本の小学校のような入学式を経験することができました。体の割に少し大きいランドセルを背負って他のクラスメートの後に並んで教室に入っていく姿を見て、自分の子が1年生なんて信じられないような、でもやっぱり大きくなったものだ、とうれしい気持ちになりました。

小学校入学、ランドセルの値段が高い、でもお祝いだから

入学の準備をしていて実感したのですが、昔に比べ、ランドセルは高級になりました。3, 4万円くらいが中心価格帯、5万円台くらいが売れ筋という印象です。6年間長く使うものだから、高品質で子どもが気に入る物を求めたいという親心もありますし、小学校入学のお祝いという気持ちも込められて、価格は高くなっていっているように思います。

ランドセル格差、という言葉も聞きました。10万円以上するようなランドセルも完売するそうで、高価なランドセルを買ってもらえる子と買ってもらえない子という子ども間の経済格差が広がっているそうです。

生活に困窮しランドセルどころではない家庭も多い、そんな話は聞くけれど

日本の子どもの貧困問題、最近ニュースで目にすることが多いと感じられている方が多いと思います。それもそのはずで、日本では長い間、政府が貧困について調査していませんでしたが、2009年以降になってようやく、日本の子どもの貧困率が公表され、2012年の調査では6人に1人の子どもが貧困家庭(注)で生活していることが分かりました。このような話はテレビなどで報じられるようになり、すでにご存じの方は多いでしょう。

収入がこれだけ少ない家庭では、ランドセルも含めて、子どもの入学で学用品などを揃えることが大変であろうことは容易に想像がつきます。

放置される貧困家庭の子ども

「親が離婚して、ひとり親世帯で貧困というのは親の責任。離婚したのは親の勝手で、生活が苦しくなるのはわかっていたはずだし、離婚しなくてはならないような相手と結婚したのが悪い」

「母親が努力して立派に子どもを育て上げている母子家庭もある。貧困なのは親の努力が足りないのでは」

「学校もまともに行かないで、若くして子どもを産んでしまったような親が貧困になっているのだろう」

貧困家庭は親の「自己責任」という意見。私の周りでも多かったことに驚きました。確かにそのような貧困家庭もあるでしょう。子どもは家庭で育てられているのだから、親自身や家庭の問題を無視できません。でも、親が悪いからという理由で、子どもたちを放っておける社会もまた無責任です。

10万円のランドセルを買ってもらえる家の子と1か月の収入が10万円の家の子。個人の力ではどうにもならない問題だから、国が対応すべき問題だからと、見ないふりをするのももう限界だと思います。国よりも早く、今私たちが、できることがあるはずです。

子どもの新生活を応援する新しい試み

子どもの貧困対策センター「あすのば」では、新生活をスタートさせる貧困家庭の子どもたちのために新しい試みに取り組んでいます。入学・新生活応援給付金「ここにいるよ。」プロジェクトというものです。

このプロジェクトでは、生活困窮世帯の子どもに

新年度小学校入学 3万円

新年度中学校入学 3万円

今年度中学校卒業 4万円

今年度高校卒業  5万円

を各学年40人、合計160人に給付します。このプロジェクトが素晴らしいのは、お金を渡して終わりではなく、給付対象者の子どもたちとキャンプなどの活動を通じ、子ども同士の連帯を深め、さらにアウトリーチを行うことで貧困対策のモデル事業として成果を上げることを目標としています。あげられるお金も対象となる子どもの人数も限られたものですが、より抜本的な大きな対策へつなげることができます。

今年1月7日現在の協力者は2,100人以上に上っています。募金額は197万円、目標金額600万円に到達するには、まだまだ多くの方の協力が必要です。今年度中に支給することが重要ですので、時間はあまり残されていません。

2016年春は、私たちが子どもみんなにエールを送る春です。

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入学・新生活応援給付金「ここにいるよ。」プロジェクト 寄付申込フォーム

(通信欄に「ここにいるよ。」プロジェクト宛、とご記入を)

子どもの貧困対策センター あすのば Facebookページは、こちら

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(注)OECDの算出方法による相対的貧困率を参照しています。当可処分所得の中央値の半分未満の所得の人口が全人口に占める比率です。2012年のデータでは中央値が1人当たり122万円。2人家族の場合、171万円、4人家族の場合は所得244万円未満が貧困ラインとなります。

野口由美子 (ブログ Parenting Tips