被選挙権は18歳or20歳、どちらにすべきか?【若者政策推進議連第三回総会】

被選挙権と少年法の兼ね合いをどうするか?
Open Image Modal
若者政策推進議連第三回総会の様子
日本若者協議会

2018年5月24日に設立された若者政策推進議員連盟(会長:自民党・牧原秀樹衆議院議員、通称若者議連)。第一回第二回と被選挙権年齢と供託金額引き下げについて専門家を講師にヒアリングや議論を重ねてきたが、第三回は国会議員と若者だけで提言案を検討した。

被選挙権と少年法の兼ね合いをどうするか?

前回第二回総会では、若者団体から「すべて18歳に引き下げるべき」という提言がなされ、参加した国会議員からも「すべて18歳に統一すべき」という意見が多数を占めた。しかし、今回参加した議員からは「責任と権利のバランス」を考慮して、「少年法との兼ね合いを考えるべき」だという意見が目立った。

「(20歳に維持する)お酒やタバコなど健康面はわかりますが、少年法で守られる、精神の面で大人だと認められていない人が、被選挙権を得るというのは変。匿名での報道や少年院など、責任と権利のバランスを欠いているのではないか」(日本維新の会・丸山穂高衆議院議員)

「丸山議員のおっしゃる通り、責任と役割について表裏一体で考えていかなければならないのではないか」(自民党・宗清皇一衆議院議員)

「まず20歳、その後18歳という、いくつか越えなければならない議論の壁があると明示した上で、議論を詰めていこうという2段階で考えるのが、冷静な形だと考える」(国民民主党・城井崇衆議院議員)

「責任能力やこの人は本当に大丈夫なのかという議論はあると思うが、それを選択するのは有権者なのだから、当選して出てきた人間であれば、その声を議会に届けていくというのは、民主主義の本来あるべき姿だと思っている」(立憲民主党・中谷一馬衆議院議員)

一方、共産党の藤野保史衆議院議員や若者からは一緒に考えるべきではないという意見も上がった。

「少年法という言葉が入ると、これは非常に大きな問題なので、議論があらぬ方向に行きかねない。被選挙年齢との関係でいうと、ここまで広げるのは、率直に言って難しいのではないかと思っている。少年法については、それぞれの法律の立法趣旨があり、責任と役割という一般論で統一というのは大いに問題がある」(共産党・藤野保史衆議院議員)

「少年法で守られる議員も出てくるかもしれないが、大事なのは、被選挙権というのは選挙の信託を受ける。少年法は選挙の信託を受ける手前の話をしているのだから、そこまで緻密にこの議論をしていくということが、果たして本当に若者たちのためになっているのか」(参加した若者)

また、選挙権と被選挙権年齢、衆議院・参議院議員で年齢を分けるべきという意見も上がった。

「選挙権というのは意思を表明することであるので、どちらかというと権利の側面が強いので若くても与えられるべき。一方で、被選挙権というのは権利であるが他方で、責任や議員として活動することに対する義務のようなものを伴うので、同一にするのはどうか。参議院については、参議院の独自性を考えると、参議院は年齢を上げるというのも一つの方向である」(公明党・佐々木さやか参議院議員)

供託金を下げたら、若者は立候補するようになるのか?

Open Image Modal
日本若者協議会

若者政策推進議連第三回総会の様子(写真:日本若者協議会)

次に、供託金を「10万円に引き下げるべき」という意見に対しては、もっと慎重に議論すべきだという意見が多くを占めた。

「供託金を10万円に下げて、公費で面倒を見てもらう部分もなしとなると、お金のない若者が選挙に出られなくなって、結局若者の負担をあげることにもつながってしまう。一方で、今危機的なのは地方選挙。無投票がどんどん増えている。川崎市高津区のような、隣が東京都でベッドタウンのところですら、無投票になっているというかなりの危機感がある」(立憲民主党・落合貴之衆議院議員)

「供託金が仮に10万円に下がっても、それまでの準備やそれ以外のところでお金がかかる。これを踏まえると、10万というのはリアリティがなく、選挙公費も下がるというのは本末転倒である。選挙公費が下がらない相当の範囲で提示をし、そこからどこまで選挙自体にかかるお金を下げていけるかというのを、2段階目のロケットとしてつけておく形というのが現実的である」(国民民主党・城井崇衆議院議員)

「供託金が諸外国と比べて高い中で、間口を広げるという意味で供託金を引き下げるのは重要である。同時に、行政の負担が増大するリスクも当然ある。海外でどういった取り組みがなされているのか、例えばドイツであれば小選挙区では200人の署名を集めるということが実施されている」(立憲民主党・堀越啓仁衆議院議員)

「供託金を低くすれば、若い人が立候補するかというと、それは別の問題である。低くしても結局若い人たちが立候補しなければ、我々の世代の供託金が下がっただけとなり本末転倒」(自民党・中曽根康隆衆議院議員)

以上、見てきたように、議論はまとまらず、次回7/6に再度検討していく。

議論に参加したい若者団体は若者議連のHPから登録できる。