米国コロラド州で「1000年に1度」の洪水、その意味

報道によると、9月半ばにコロラド州で起きた洪水では、少なくとも10名が死亡、安否不明は数百人に上っている。損害額は20億ドル近くに達し、避難者数は1万人を超える。州内の被害地域は、少なく見積もっても、南北の方向320キロメートルに及ぶ。
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トレーラーハウスの展示駐車場にて。コロラド州ウェルド郡で9月14日撮影。

報道によると、9月半ばにコロラド州で起きた洪水では、少なくとも10名が死亡、安否不明は数百人に上っている。損害額は20億ドル近くに達し、避難者数は1万人を超える。州内の被害地域は、少なく見積もっても、南北の方向320キロメートルに及ぶ。

これほどの降水量は、1000年に1度あるかないかだとされている。

米国立気象局(NWS)による新たな分析によると、コロラド州の都市ボールダーからエステス・パーク一帯、および、デンバー郊外にあるオーロラとその南方に広がる一帯、この2つの地域が「1000年に1度の豪雨」に見舞われたという。

豪雨で水位が上昇する中、NWSはツイッター上で、「まるでノアの大洪水のような(Biblical)」と表現した。

「1000年に1度の洪水」という表現は、文字通りに、このような豪雨が1000年に1度しか起きないと言っているわけではない。任意の1年間でこういった大規模洪水が起きる確率は0.1%という意味だ。『タイム』誌のブライアン・ウォルシュ氏は記事の中でそう指摘している

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道路基盤が流出し、3台の車が濁流に飲まれた。3人の人が救助された。9月12日撮影。

コロラド州立大学のラス・シュマッハー教授がKDVRに語ったところによると、今回の豪雨が特徴的なのは、非常に広い範囲に同時に豪雨が生じたことだという。1976年に発生したビッグトンプソン川の洪水や1997年に生じたフォート・コリンズの洪水でも、降雨は多かったが、地域は限定されていたのだという。

1976年のビッグトンプソン川の洪水では、地域が限定されていたとはいえ、139名の命が奪われた。今回の豪雨でも、ビッグトンプソン川の流量は大幅に増加。ノース・フォーク付近での水量は、1976年の洪水時を30センチ以上も上回ったとNWSが伝えている

増水した河川の威力によって、洪水時の流量計測のために設置していた機器5台のうち3台が破壊された、と米地質調査所(USGS)コロラド州研究施設の水質学者ロバート・キンブロー氏は「LiveScience」に語っている

コロラド州在住のジャスティン・ルイス氏は、USGSによるデータを利用して、同州の複数の川の水量が劇的に増加するグラフを作成し、掲示している

Boulder, Colorado:

Golden Ponds Park and nearby neighborhood in Longmont, Colorado:

Lyons, Colorado:

Lyons, Colorado:

Twin Peaks Neighborhood and Golf Course in Longmont, Colorado:

Boston Avenue area of Longmont, Colorado:

今回の豪雨が生じた理由について、トム・ユルスマンは『ディスカバー・マガジン』の記事で、次のように説明している(リンク先では、コロラド州上空の大気の動きをGIFアニメーション化した画像を見ることができる)。

大量の湿った大気がフロント山脈(コロラド州のロッキー山脈最東端)にぶつかり、山を越えられないまま、そこに溜まった。それに加えて、北から下りてきた寒冷前線が停滞したことも、湿った大気をコロラド州上空にとどまらせる要因となった。

[Matt Ferner(English) 日本語版:遠藤康子、合原弘子/ガリレオ]