私の住んでいるところは、日本人は私しかいないミャンマーの田舎町です。
仕事で僻地の村に行くことも多く、ナゼそこに日本人がいるのか海外取材をする某TV番組から何度も出演オファーをいただくほどです(笑)。
ヤンゴン国際空港から飛行機で1時間半〜4時間(航路による)を行き(バスの場合は約10時間)、さらに車で2時間ほど走ると、私たちのオフィスがある町に着きます。
私たちが活動している場所は、外国人が立ち入れるギリギリのエリアです。
さらに僻地へ行くと民族紛争が続いていたり、ケシ(麻薬の材料となる植物)が栽培されたりしているので、危険区域とされているところもあります。
そんなところで私がいったい何をしているのか、ご紹介します。
孤立する村々を繋ぐライフラインを担う
ミャンマーの僻地に暮らす農村の人々は、生活必需品や公的サービスを得ることが難しい現状があります。
村までの物流コストが高いために、都市部よりも食料品や生活用品の価格は上がる一方。
収入の低い村人たちにとっては本当に必要な薬などでさえ、手に入りにくいのです。
村によっては、買い物だけのために片道6時間の悪路を歩かなくてはならないことも。
これでは余計な時間や交通費もかかります。
▶村にあるお店にて
そういった、僻地がゆえにモノやサービスが届かず、本当は必要としているものがあるのに手に入れられない状況に対して、私たちは村人たちと協力して商店の立ち上げ、または既存の商店への卸しを行っています。
町から村人が必要とするモノを大量に購入して安く仕入れることで、貧困から抜け出せずにいる村々に適正価格で必要なモノを届けています。
地図にも載らない村を見つけ出す
私たちがモノを届ける村の多くは、地図にも載っていないような場所です。
周辺の地域の人たちに聞き込みをすることによって、「誰も知らない」村を見つけ出すのも私たちの仕事の一環です。
こうして訪れた村々は、それぞれに問題を抱えていました。
彼らと丁寧にコミュニケーションをとっていくことで私たちを信頼してもらえるようになり、問題解決に向けて共に歩み始めることになります。
▶市場の風景
今ではモノを届けるだけでなく、村人が必要としていたマイクロファイナンスや、有機農業の指導、村から市場までの配達など、さまざまなサービス拡大に取り組んでいます。
事業を始めてから、「必要な時に食料や薬がすぐ手に入って助かった」「少しずつ貯金を始めることができた」「買い物が便利になって嬉しい」など村人からたくさんの嬉しい声を聞くことができました。
さらにマイクロファイナンスを利用して家畜を飼い始めたり、畑を拡大したりと、自ら新しい事業を始めた村人たちもいます。
農薬の大量使用を止め、有機農業を始めた村人もいます。
挑戦するきっかけをつくりたい
ミャンマーの農村に住む人々の中には、仕事に対して熱心な人も多くいます。
話を聞いていると、「自分の畑を広くしたい」「車の免許をとって新しい仕事がしたい」など、自分の生活を良くしようという意欲があります。
これまでは何かに挑戦したいと思っても、資金がなかったり、方法を知らなかったり、自らの希望を叶えるきっかけやチャンスがありませんでした。
▶村人たちの仕事の様子
私は、自分の力だけでは挑戦することのできない、そういった状況にある人たちにとってのきっかけをつくるために、ミャンマーの僻地で起業することにしました。
そうして、自分の可能性を広げた人がまた誰かの可能性を広げることができるようなサイクルができていったらいいなと思います。
今後もミャンマーの僻地で、現地スタッフとともに村人の声を聞きながら事業を進めていきます。
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ライター
加藤 彩菜/Ayana Kato
1991年生まれ。中央大学哲学科卒業。学生時代に発展途上国の貧困問題を目の当たりにし、「誰もが自分の未来に希望をもてる世界」にしていきたいと、社会問題を解決するソーシャルビジネスしかやらない会社「ボーダレスジャパン」に就職。入社8ヶ月で単身ミャンマーに渡り、新規事業立ち上げに挑む。
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