行政(Government)とテクノロジー(Technology)を掛け合わせる「GovTech(ガヴテック)」が世界的に広がりつつある。
非効率な部分や面倒な手続が多い行政分野にテクノロジーを取り入れることで、市民サービスをより良くする取り組みだ。
GovTechの知見やノウハウを共有・交換する「GovTechサミット」が2月10日、都内で開催され、オープニングセッションでIT評論家の尾原和啓さんが講演し、GovTechの意義を語った。
■「GovTech」って何?
尾原さんは、GovTechの定義を「テクノロジーを使うことによって、行政のデジタルサービスで、皆さんの生活を豊かにすること」と話した。
日本では、成長戦略として政府が掲げた「未来投資戦略2018」の中で、「第4次産業革命技術がもたらす変化/新たな展開:Society5.0」という5つの分野が設定されている。
この中で、「『行政』『インフラ』が変わる」「『地域』『コミュニティ』『中小企業』が変わる」というふたつの項目がGovTechに関連していて、日本でも注目されていると、尾原さんは強調した。
■GovTechで大切なことは「誰一人取り残さないこと」
具体的にGovTechはどのような価値があるのだろうか。
尾原さんは「既存のものを効率化する」ことと、「新しく付加価値を生み出す」ことのふたつが大事だという。
日本では、スマートフォンの世帯保有率が70%を超え、インターネットに繋がっている人が約94%と発表された。「効率化」には、広く普及しているデジタルを活用することで、面倒で手間のかかる手続きを改善し、いかにスムーズな処理を実現するかが重要だという。
「新しい付加価値」は、地方行政に新しい売り上げを作ったり、市民に持続的な生活を担保したりと、イノベーションを起こすことで何を提供できるかを考えることだと話した。
さらに、「もっと大事なこと」として、「誰一人取り残さないこと」と続けた。尾原さんは、「社会的な弱者の方々に対して、テクノロジーの力で光を提供していく」とテクノロジーの価値を強調した。
また、GovTechを実現するときに大事なことは「透明性」「コラボレーション」「参画」の3つだという。
データを「透明に」提供することで最適化が行われる。最適化を行うときに、政府だけでなく、企業が営利も含めて持続的な形で「コラボレーション」する。ここに、市民が生活の中で「参画」することで、「全員で豊かなものを作っていくことが大事」と語った。