テニス・全豪オープンで優勝し、世界ランキング1位となった大坂なおみ選手。1月中旬、大坂選手が所属する日清食品の「カップヌードル」のアニメーションCMが物議を醸した。
CM中に登場する大坂選手の肌の色に対し、「ホワイトウォッシュ(非白人を白人のように描くこと)ではないか」と違和感を指摘する声があがったのだ。
この問題はハフポスト日本版が報じた後に海外メディアでも取り上げられ、日清食品はCM動画の公開を停止。謝罪した。
一連の騒動について、アメリカ出身のアフリカ系アメリカ人で、2004年から日本に暮らす作家・コラムニストのバイエ・マクニールさんは、「大変失望した」と語る。
■同じルーツを持つ子どもたちに影響する
マクニールさんの友人の黒人女性は日本人と結婚し、2人の子どもがいる。この子どもたちが、今回の騒動を残念がっていたという。
「今回、仮に大坂さんの肌を意図的に白くしたとしたら、彼女の持っているルーツが消し去るべきものなのではないかというメッセージを与えてしまい、子どもたちの内面や今後に影響する」とマクニールさんは危惧する。
■日清の対応はどうだった?
批判を受けて日清が動画を公開中止にしたことに関しては、「理解ができる」としながらも、「日清が想定しているお客さん・視聴者は日本人、あるいは日本社会に住んでいる人だった」と語る。
「世界中の人に対して、きちんとしたCMを流すという意識があったのだろうか」と指摘した。
日清の謝罪文についても、「文書を発表してきちんと今回の件を反省しているということを重く受け止めている」といい、「本当に今後、日清が行動するかを注目している」と話した。
日清がダイバーシティ・人種の問題に取り組む団体の人ときちんと会話をして、次のアクションに繋げることが大事だと述べた。
■国内メディアと海外メディアの反応の違い
今回は、海外メディアの報道が国内よりも先行した。
海外メディアは、CMによって「大坂選手のアイデンティティが汚された」ということを問題視していた。しかし、国内メディアの取り上げ方は主に「海外メディアが批判した」というものであったため、マクニールさんは「遅くなったのも必然」と指摘した。
■今後はどうするべき?
マクニールさんは、今後「日清は変わるべきだ」という。しかし、それは「海外メディアが大騒ぎするから」や「誰かが文句を言うから」というネガティブな理由ではいけないと指摘している。
日本の人口は減り、世界的には人口が増える。「人種や宗教といった様々なバックグラウンドを持った人がどんどん増えていく。仮に、日本が移民を受け入れるようになれば、さらにそのような人も増えるだろう」とマクニールさん。
変わりつつある社会では、日本の企業も積極的に対応を考える必要があるのではないかとマクニールさんは語った。