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マリオが死刑判決ーー。
中国の治安対策・司法などを担当し、裁判所や検察組織も所管する共産党中央政法委員会が任天堂「スーパーマリオ」シリーズのキャラクターを登場させた宣伝動画が話題になっている。
無断使用の可能性があるため、「著作権の侵害ではないか」といった指摘がネット上で相次いでいる。
■マリオが犯罪や腐敗を次々に摘発
問題の動画が公開されたのは、中国のSNS「微博(ウェイボー)」だった。1月30日、政法委員会の公式ニュースサイト「中国長安網」のアカウントで掲載された。
動画のタイトルは「Super Mario Mr.Judge2018」と、堂々と「マリオ」の名前を使用している。ファミコン版「スーパーマリオブラザーズ」を思わせるドット絵のステージを、裁判官の制服姿のマリオが進んでいく。
原作ではコインやキノコが出てくるはずの「?」ブロックをマリオが叩くと「刑事」や「民商事」「行政」といった、裁判所が担当した案件の文字が浮かび上がる。
さらにステージを進むと、出てくるのは虎とハエ。「虎」は共産党幹部の大物を、「ハエ」は比較的小粒な汚職官僚などを意味し、「虎もハエも叩く」とする習近平政権が掲げる腐敗撲滅運動のスローガンが背景にあるとみられる。党の理念を体現するかのように、マリオは虎とハエを撃退していく。

次のステージでは、マリオが車で次々に人をはねる男に出くわす。男は駆けつけた警察に逮捕され、向かった先は裁判所。裁判長に扮したマリオは、その場で「死刑判決」を宣告する。
そのあとは密漁者とみられる男たちを退治し、逆に冤罪被害者を表したと見られる氷漬けのキャラクターを解放して「無罪」とするなどの演出が続く。そして、ゴールへ突き進むのだが、途中で「知的財産権」と書かれたコインを拾うシーンはなんとも皮肉が効いている。

■著作権侵害では? 任天堂「コメントはしない」
この動画に対して、中国のユーザーからも「著作権を侵害していないか」といったコメントが寄せられている。任天堂はハフポスト日本版の取材に対して「個別の案件についてはコメントしない」と話している。