2019年4月に行われる統一地方選を前に、国会で1月29日、女性議員の増加を目指す集会が開かれた。政党関係者が登壇し、現状や擁立予定者の女性割合などを報告した。
各党から報告された統一地方選での女性候補者の現状は以下の通り。
公明党は「17日現在は477人を公認しており、3割を超える予定。7月の参院選もより多くの女性を擁立したい」。
「女性活躍の裾野を広げるため、統一選は大事な機会だと思っている」(中野洋昌国会対策副委員長)
立憲民主党は「統一地方選の東京の公認候補は4割弱となっている。参院選の候補予定者は男女半数」。
「政治にチャレンジしたいという女性が多く、相当なうねりを感じる。女性候補者は通年で募集している。休暇制度や供託金の減額など、立候補のハードルを低くするような仕組みが必要だと思っている」(長妻昭・選挙対策委員長)
国民民主党は、「3割を目指しているが、現時点では15〜20%程度。参院選は現状3割だが、どんなことをしても3割を超える」。
「選挙にはお金が必要。女性の新人候補者には、都道府県議選で260万円、政令都市で250万円・・・などの支援金を用意している。現実的に戦うためだが、それでもなかなか難しい」(岸本周平・選挙対策委員長)
共産党は「地方選候補者は、都道府県議が47.8%、政令都市で45.8%。参院選選挙区では41.7%%が女性です。1人区の調整などもあるので、どうなるか分からないが、比例も含めて引き続き頑張っていきたい」。
「小選挙区制度が女性が出るうえで本当に苦労がある。議員生活と家庭生活の両立も難しい。この辺りの改革も進めていきたい」(畑野君枝議員)
日本維新の会からは浦野靖人・政調副会長が出席。「選挙のたびに候補者で見ると、女性の割合は自民党よりも多い。ところが選挙を終えると逆転してしまう。選挙という洗礼で女性が生き残れない。女性に広く出てもらうため、被選挙権を18歳まで下げるべきだと考えている」と語った。具体的な数字は出さなかった。
自民党からの登壇者はなかった。
会場にいた逢沢一郎・選挙制度調査会長がマイクを握り、「自民党も改めてしっかり向き合わなくてはならないという実感を持ちました。どれほどの候補者を用意することができるか、今一生懸命取り組んでいるところです。法律もできた。国民の皆さんの共感や理解をいただきつつ、大きな目標に向かって前進できるように努力していきたい」と述べるにとどまった。
どんな法律?
今回の統一地方選は、2018年5月に「政治分野における男女共同参画推進法」が成立・施行されてから初めての大規模選挙となる。
法律は「男女の候補者の数ができるかぎり均等となる」ことを目指しており、各政党には男女の候補者数について目標を定めるなどの努力義務がある。背景には、法律に「男女同数」を盛り込みたかった野党側と、これに反発し「均等」を主張してきた与党側との対立がある。
上智大の三浦まり教授(政治学)は「メディアには『どの程度の効果があるのか』という冷笑じみた批評もあるが、法律にどういう言葉が書かれているかよりも、どう活用するかという政治的な意識の方が大事。今年は、女性の政治参加における新しいうねりの年になるのではないかという予感がしている」と期待を込めた。
世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数(2018年)では、日本は149カ国中110位。政治・経済分野での女性の登用の遅れが指摘されている。