アニメが好き、アイドルが好き。そして漫画が好き。声優やコスプレ、同人誌ーー輝くまぶしい推しのためなら、いくらでも投入できる気がする。そんなオタクの熱い愛を、データとしてまとめた矢野経済研究所のレポートが1月24日に発表された。
アニオタ1人がつぎ込むお金は年間2万円。まじか。
2018年調査では、国内に住む15~69歳までの男女1万408人にインターネットでアンケート調査を実施。オタクと自認している人またはオタクと言われたことのある人に対し、どの分野に興味があるか、年間の消費額はどのくらいかなどを聞いた。
アンケートの結果から、21分野の「オタク」の人口を拡大推計。
第1位は「漫画」の約640万人、次いで「アニメ」約598万人、「アイドル」約280万人、「オンラインゲーム」約216万人と続いた。「漫画」「アニメ」については3年連続で1位、2位を占めている。
ただ、経年で調査している20分野では、アイドル分野以外のすべてで人数が減少していた。
特に初音ミクの登場で注目を集めたボーカロイド分野は減少が著しく、2016年には68万人と推定されたが、2018年には6割減の26万人になった。
2018年の調査によると、年間にオタク活動へつぎ込む金額はアイドルオタク(ドルオタ)が断トップの10万3544円。次いでメイドカフェや執事カフェなどの「メイド・コスプレ関連サービス」が6万8114円だった。
また、アニメオタク(アニオタ)は2万308円と控えめ。月額にすると約1700円だ。カードキャプターさくらであれば、ケロちゃんのマグカップより安く、ちょっこりさんの各キャラクターぬいぐるみより高い程度。
オタクに対するネガティブなイメージは薄れ、ライトユーザーも参入できるように
オタクといえば、あまり明るいイメージがない言葉。コトバンクには「社会的にその価値が理解されがたいサブカルチャーや趣味に嗜好をもち、その細部にこだわり、自分の世界に閉じこもって没頭する傾向が強い」とあり、ネガティブに捉えられがちだ。
しかし、オタク市場の拡大に伴い、矢野経済研究所は「近年『オタク』という言葉からネガティブなイメージは薄れつつあり、『オタク』はもはやマイナーな存在ではなくなっている」と指摘。
「オタク」=マニアックというマイナーな存在ではなくなっていったことで、ライトユーザーの参入もしやすくなっていった結果、市場が広がる要因になっているとみられる。
お布施もさまざま、理由もさまざま
ドルオタを自認するオタク、アニオタを自認するオタクにとっての年間10万円、年間2万円はとても安く感じるかもしれない。だが、2018年にKDDI総合研究所が発表したレポートでは、意外な結果が見えた。
18~34歳のオタク1000人を対象にしたアンケートで、展示や物販、同人イベントのほか、ミュージカルやライブに「参加したことがない」と答えた人はいずれも65%以上を占める。反面、1カ月に2回以上足を運ぶ人は2%以下だった。
オタクのイベント参加頻度は、「3年に1回未満」「1年に1回程度」「半年に1回程度」という人が多く、参加頻度は必ずしも高くなかった。
また、オタク活動に充てる月額金額については、アニメ関連では約半数のオタクが「お金は使っていない」と愛だけで乗り切っている様子がうかがえた。
一方で、1~2%は月に3万円以上を推しにつぎ込んでいる。平均すると、年間2万円程度は納得できる金額なのかもしれない。
では、沼にはまりATMとなっていくオタクたちは、なぜお金を使うのか。
アンケートでは大別して「応援・還元」「自己満足」「優越感」の3種類の真理があると分析。だが、「新商品を誰よりも早く手に入れたい」などの優越感よりも、「入手できるものはできるだけ収集したい」といった自己満足や、「作品の制作者にお金が入るのであれば払うことに抵抗感はない」といった応援目的のほうが多く割合を占めていた。
コンテンツへの愛情はお金だけではないが、溢れる推しへの愛を、誰でも伝えられる手段が購買活動でもある。楽しめる範囲でオタク活動にいそしんでいけたら、人生はより幸せになることは間違いない。