外国人を対象にした日本語の教育を推進する法案を成立させようと、大学教授などで作る団体がネット上で署名を募っている。2019年4月から施行される改正出入国管理法を機に、5年間で最大34万人あまりの外国人労働者を受け入れることが背景にある。
■外国人は今後も増加するが・・・日本語は不十分
法務省の統計によると、日本国内に住む外国人は2018年6月時点で約260万人と年々増加している。さらに、政府が推進してきた改正出入国管理法が2018年12月に参議院で可決・成立し、2019年4月からの5年間で、最大34万5150人の外国人労働者を受け入れることが決まっている。
署名活動を主催している「日本語教育の推進に関する法律の早期成立を要望する会」によると、これまでも仕事を求めて来日したものの、日本語のレベルが十分ではなく、労働者やその子供が日本社会に馴染めないケースが多く寄せられているという。
会では今後、改正入管法を機にさらに外国人が増えることから、日本語教育を受けられる機会を最大限、確保できるようにする法律の成立を目指している。2019年の通常国会に議員立法として提出される見込みだが、改正入管法が施行される4月より前の成立を目指すため署名を募っているという。
法律では、外務大臣と文部科学大臣に日本語教育のために必要な基本方針案を作成するように求める。その上で都道府県などに基本方針を元に教育プランを練らせ、それに応じて予算を配分する仕組み。教育を受ける対象は、外国人労働者に加え、その家族や留学生、それに難民などをイメージしている。
主催している団体によると、外国人向けの日本語教育は、これまではNPO法人がボランティアを募るなどして行ってきた。しかし文化庁の資料によると、日本語教育が行き届いていない自治体に住む外国人も55万人いるという。
■署名は十分に集まらず・・・「日本社会の問題と捉えて」
この団体は2018年12月からネット上で署名活動を開始した。2019年1月いっぱいを期限とし、10万筆が目標だ。しかし1月22日現在で集まったのは5200筆あまりと、目標には大きく届いていない。
呼びかけ人の代表を務める武蔵野大学の神吉宇一准教授は「一般の方の反応がまだまだ薄く、日本語教育の必要性が社会的な課題と認識されていないと感じている。日本語が話せない外国人が周囲に増えて困るのは私たち日本人。私たちの今後の社会のあり方をどう考えるかの問題だと捉えて欲しい」と話している。