シェアサイクルやスマホのバッテリーなど、シェアリング・エコノミーの分野で新サービスが相次いで登場している中国で、2018年にリリースされた「シェア化粧ボックス」が現地で話題を呼んでいる。
■シェア化粧ボックスとは
話題を呼んでいるのは、女子大学生が起業して始めたサービスで、「17Beauty」と呼ばれる化粧ボックス。
中国のSNS・微信(ウィーチャット)の公式アカウントによると、女性に「品質が良く、いつでも使え、プライバシーの守られた」化粧スペースを提供することが目的だという。
ピンク色の大きな電話ボックスの様な外観で、決められた時間内で備え付けられた化粧品や道具を自由に使って化粧直しができるサービスだ。さらに、備え付けの化粧品は、「ジバンシィ」や「アーバンディケイ」といった有名ブランドなどの商品だとしている。
現地メディアによると、使用するにはスマホで決済したあと、化粧品の盗難を防ぐためか実名を登録する必要がある。価格帯は4つに分類されていて、初回は無料で15分体験できる。最も長い利用時間は45分間で58元(約930円)だ。
微博(ウェイボー)の公式アカウントでは、北京市に最初のボックスが設置されたという投稿が2018年の8月1日にされている。
■日本ユーザーも体験
実際に上海に設置されたボックスを体験した日本人、たきさんがハフポスト日本版の取材に応じてくれた。
たきさんによると、料金を支払ってボックスに入ると、化粧品や道具の入ったガラスケースが自動で開いていき、使えるようになる。
これらはボックス内の台に固定されており、口紅も直接唇に触れないように、それぞれ綿棒につけて塗るとのことだ。
ボックス入り口の扉もガラス状のため中が丸見えだが、使用開始とともにすりガラス状に曇っていく嬉しい配慮もあるという。
■衛生面が心配?
このボックスでは、一台に備え付けられた化粧品や道具を複数のユーザーが使いまわすことになる。
衛生面が心配になるが、たきさんは「化粧品を肌につけるためのパフや綿棒など、使い捨てのツールが置いてありますので、最低限の配慮はできていると感じます」とした一方で、「他の方がどのように利用されているかわからないですし、特に口紅は口につくものであることもあり、やや抵抗感はあります」と話している。
去年リリースされ、まだ日の浅いこのサービス。物珍しさはあるが、現地のユーザーに受け入れられるのだろうか。
たきさんは「私自身が利用するシチュエーションがイメージできない」と話す。その一方で「普段はすっぴんでオフィスに行きナイトライフのために化粧する、という行動は都市部の中国女子の中ではある程度あることのように感じており、そういう時に役立つのかもしれません」と一定の需要はあると感じているという。
■現地ネットユーザーの間でも話題に
現地のメディアも2019年1月に、武漢市に設置されたボックスを記者がリポートし、それがきっかけでネット上で「利用したいか」議論が起こった。
「ニッチな需要を掘り起こしているし、全国的に普及する可能性もある」とビジネスアイデアを評価する声もあったが、「感染症の危険がないと証明できない」とか「肌に触れるものは共有できない」などと衛生面を心配する声が目立った。
17Beautyは1月9日、ウェイボー上で「リリースされてからの4ヶ月で累計数十万人の女性が利用した。使い捨ての化粧道具なども用意し、肌と肌の直接の接触を避けていく」などとコメントしている。