第95回箱根駅伝、青山学院大の5連覇を阻んだのは、46回目の出場にして、10時間52分9秒の大会新記録をたたき出した東海大だった。
青山学院大は往路6位と予想に反して出遅れた形となったが、復路で巻き返し、10時間55分50秒で2位を死守した。
平成最後の箱根駅伝、逆転の初優勝
8区で逆転し、トップを維持して最後まで崩れずに安定の走りでフィニッシュテープを切った東海大。
東海大学の両角速監督は日本テレビのインタビューに「信じられない気持ち。でもホッとしたというのも正直な気持ちです。やっと形になった。夢心地のよう。学生に感謝したい」と笑顔を見せた。
惜しくも5連覇を逃した青山学院大の原晋監督は「素直に悔しい。学生たちのひたむきな努力を見てきた」と言い「4区を甘く見すぎた」とインタビューに応えた。
数々のスター選手を生んだこの10年間の優勝シーンを振り返る。
山の神・柏原竜二の時代 鉄紺の東洋大4年で3度優勝(2009~2012)
東洋大で1年生ながら、「山登りの5区」を任されたのは、いまも伝説として語り継がれる山の神・柏原竜二。
その後、柏原は4年間5区を圧倒的な速さで走り続けた。
この間、東洋大は3度の総合優勝を飾った。
2009年は柏原のごぼう抜きで往路を逆転優勝。復路は早稲田大とのし烈な争いを制して逃げ切った。
続く2010年は圧勝の2連覇を飾る。
だが2011年、1区の大迫傑がぶっちぎりの速さでトップを駆けた早稲田大が、東洋大から18年ぶりの優勝をもぎ取る。
2位となった東洋大との差はわずか21秒。往路優勝だった東洋大との27秒差を逆転するという、箱根駅伝史上最も接戦といえる戦いだった。
2012年は、10時間51分36秒の大会新記録を打ち出し、2年ぶり3度目の総合優勝を飾った。
混戦の様相、平地でのスピードと総合力が勝負を握る(2013~2014)
柏原竜二が去り、第88回(2012年)までの「山登りの5区」が勝負を左右してきた傾向が打って変わり、混戦の様相を呈していた第89、90回。
2013年の優勝は日本体育大。区間賞は5区の服部翔大のみだったが、抜群の安定感を見せた。
90回目の節目の大会となった2014年は、総合1位と2位が11時間を切るという熾烈な戦いにもつれ込んだ。
優勝は、双子の設楽啓太、悠太兄弟を擁する東洋大。
1万メートル27分台は、設楽兄弟のほかに、早稲田大の大迫傑とかつてない高速レースだった。
青学旋風、フレッシュグリーンが疾走した箱根路の4連覇(2015~2018)
なかなか勝てない時代が続いていた青山学院大に原監督が就任したのは2004年。トップダウンの指導から、選手の自主性を重んじるボトムアップ型のチーム作りに変換していったことで、めきめきと選手たちが頭角を現した。
2015年の優勝を皮切りに、怒涛の連勝を続けた。
2015年、青山学院大は念願の初優勝を決める。不滅と言われた柏原竜二の記録を塗り替え、5区の山道を超人的なペースで軽々と駆けていった神野大地の活躍も注目された。
10時間53分25秒と驚異の高速タイムで、全区間トップを譲らずに総合優勝した2016年。圧倒的な力を見せつけた。
原監督が実業団並みの実力と評する2017年のチームは、往路、復路、総合とすべてで1位となった。
調和が取れれば間違いなく勝てる、という願いを込めて「ハーモニー大作戦」と銘打った2018年。史上6校目の4連覇を達成した。