も~うい~くつ寝るとお正月、と年明けが待ち遠しい年の瀬。
そんな年末の風物詩と言えば、餅つきだ。12月28日は「八」が「末広がり」で縁起が良いとされ、全国でお餅をついている家庭も多いかもしれない。
正月にも、ハレの日のお祝いで餅つきをするところがある。
ただ、人が集まる餅つきでは注意も必要。その一つが、餅を介してノロウイルスが広がることによる食中毒だ。
餅つき大会でノロウイルス
東京都によると、2010年1月、東京都杉並区の幼稚園で、園の餅つき大会に参加した職員や園児136人に下痢や嘔吐、発熱などの症状が出た。
この幼稚園では、約340人が餅つき大会に参加。症状を訴えた人の中から、ノロウイルスが検出された。
また、2015年12月には、東京都八王子市の保育園で行われた餅つき大会で、餅を食べた園児、職員、保護者ら41人が腹痛、おう吐、下痢、発熱などの症状を訴えた。これも、ノロウイルスが原因だった。
こうした餅つきによる食中毒は、全国で起きている。
餅つきは手返しや切り分け、ちぎり、味付けなど餅に手が触れる工程が多く、素手で作業をした場合、指から餅へノロウイルスの汚染が起こりやすくなる。
このほか、杉並区の事案では、餅つきに合の手を入れる「返し」の水は交換されていたものの、容器は洗浄されず、さまざまな人が返しに参加することで餅つきの最初の場面でウイルスが蔓延していったとみられる。
また、餅つき大会では多くの人が関わることにより、衛生管理を徹底するのも難しい。
東京都福祉保健局の担当者は注意点として、以下の点を挙げた。
(1) 体調不良の人は、感染の可能性があるので作業に参加しない。
(2) 感染していても症状が出ない人もいるので、「自分も感染しているかもしれない」ということを念頭において、手洗いを徹底する。
(3) 餅つきに使い捨ての調理用手袋を使う。特に「返し」の作業をする人や、味付けで直接餅に触る人は着用する。
(4) 杵でつく餅つき用の餅とは別に、市販やもちつき機でついた餅を、みんなでその場で食べる餅として用意する
(5) 雑煮やおしるこなど、再度加熱して提供する。
「のどに詰まらせて」都内では100人以上が搬送
毎年、のどに餅が詰まって緊急搬送される人も後を絶たない。 東京消防庁によると、2015年からの過去5年間で、餅などをのどに詰まらせて救急搬送された方は毎年100人前後おり、9割が65歳以上の高齢者だ。
餅をのどに詰まらせないためには?
餅を食べるときの注意点は、東京消防庁が次のように呼び掛けている。
(1) 餅は小さく切って、食べやすい大きさに。
(2) 急いで飲み込まず、ゆっくりと噛んでから飲み込む。
(3) 乳幼児や高齢者と一緒に食事をする際は、適時食事の様子を見るなど注意を払うよう心がける。
(4) いざという時に備え、応急手当の方法をよく理解しておくこと。
応急処置方法
まだ呼びかけに答えられていた場合と、反応がない場合に分けられる。
【意識がはっきりしているとき】
まず、吐き出させるために咳をさせる。咳ができない状態であれば、強く背中をたたく背部叩打法(はいぶこうだほう)を行う。
(1) 立っているか座っている場合は、後ろから片手で相手の胸もしくは下あごを支えて、うつむかせる。
(※倒れている場合は、手前に引き起こして横向きにし、自分の足で相手の胸を支え、片手で相手の顔を支える)
(2) もう片方の手のひらの付け根で、相手の肩甲骨と肩甲骨の間(胸の後ろあたり)を強く4~5回、迅速に叩く。
(3) 餅が取れるか、反応がなくなるまで続ける。
【意識がない場合】
呼び掛けても反応がないときは、心肺蘇生をし、119番通報する。
また、意識があり病院へ行くか救急車を呼ぶか迷った場合は、#7119をダイヤルすれば、東京消防庁救急相談センターに連絡することができる。相談センターは24時間・年中無休で対応している。