出入国管理法(入管法)改正案とは? 外国人労働者が増えるの? 成立で変わること

外国人労働者が増えそうなことは分かった。でも、全体像はあいまい

日本に滞在できる外国人
日本に滞在できる外国人
入国管理局の資料などを参考に作成

深刻な人手不足への対応のため、政府が外国人受け入れ政策を大きく転換しようとしている。これに向けた出入国管理法(入管法)改正案が衆院本会議で可決され、11月28日、参議院でも審議が始まった。12月10日まで開かれている今国会で成立すれば、2019年4月から施行される見込み。具体的にどう変わるのだろうか。

改正案の目玉は、新しい「在留資格」を設けること。在留資格とは、外国人が日本に滞在中、生活したり、働いたりするために必要な資格のことだ。現在は「技能実習」「家族滞在」など28種類あり、それぞれの資格ごとに、日本で行える活動や滞在できる期間が定められている。

これまで、働くことを認められていたのは医師や弁護士など17資格のみ。高い専門性を必要としない「単純労働」は、認められていなかった。ただ近年は、日本で学んだ技能を母国に伝えることを本来の目的とする「技能実習」の枠組みで滞在している外国人が、企業に事実上の単純労働者として使われている現状があった。

新制度では、日本語能力や仕事をするのに必要なスキルを試験で確かめる。合格して「特定技能」があると認められれば、就労資格を取れるという。つまり、正式に「労働者」として受け入れる幅が広がるということだ。

日本に滞在できる外国人
日本に滞在できる外国人
入国管理局の資料などを参考に作成

特定技能は「1号」と、より難しい試験を課される「2号」に分かれる。

「1号」は、人手不足が深刻な「介護」「建設」などの業種を想定。日本語で日常会話ができ、業種ごとに定めた一定の技能を満たしていると認められれば、最長5年間、働きながら滞在できるようになる。

「2号」は1号より合格のハードルが高い。そのぶん、更新制で長期滞在も可能に。1号では認められていない、配偶者や子どもの帯同も認められる。

人手不足の企業側からは歓迎する声もあるが、特定技能の対象がはっきりしないため、法案には野党などから批判が集まっている。政府の説明では、「1号」の対象として14業種、「2号」の対象として2業種を検討中。ただ、くわしくは法律成立後に定めるとしていて、受け入れの規模や全体像があいまいなのが現状だ。

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