死者が50人を超え100人以上が行方不明になっている(11月14日時点)アメリカ・カリフォルニア北部の山火事。未だに収束が見えないこの山火事で、愛車で住民を助けようとした看護師と彼の車が話題になっている。
パラダイス地区に住む看護師のアリン・ピアースさんは、この黒く焼け焦げた愛車の写真をメッセージとともに投稿した。
「このトラックは、文字通り私の命を救ってくれました。私の住む小さな街パラダイスで、私の周りはすっかり焼け落ちてしまいました。でも私は、このトラックのおかげで安全な場所に避難できただけでなく、二度も周りの人を助けることができた。病院と患者の避難するのを助けてくれた消防士、警察、医療従事者の仲間たちに感謝します」
現地で取材をしていたニューヨークタイムズのジャック・ニカス記者によると、パラダイスの病院に勤務するピアースさんは、患者を避難させた後、愛車で二人の同僚と救助に向かった。しかし、燃え盛る炎に行く手を阻まれ、立ち往生してしまった。
命の危険を感じて、一度は家族に向けて別れのメッセージを録音したピアースさん。しかし危機一髪のところでブルドーザーが現れ、道を作ってくれたという。その後ピアースさんらは避難するのではなく、パラダイスの中心部に戻って救助を続けた。
ニカス記者が、ピアースさんの勇敢な行為とトラックの写真をツイートしている。
「彼が車から見た風景です」
「これが、救助を続けた彼の車です」
ピアースさんはトラックをとても気に入っていたようで、Instagramにたくさんの写真を載せていた。ドアが焦げ、サイドミラーやバックライトが溶けてしまったが、命を救ってくれたと愛車に感謝している。
ソーシャルメディアでは、ピアースさんに感謝の言葉がたくさん寄せられている。そして、その中にはトヨタUSAからサプライズメッセージもあった。
「アリンさん、危険を顧みず、トヨタのタンドラで人々を安全な場所に運んでくださったことを、光栄に思っています。トラックのことは心配しないでください。新車を差し上げます」
火事でピアースさんが勤務していた病院は焼け落ちてしまった。ピアースさんらは救助から戻った後、医師や仲間の看護師、警察とともに、病院の駐車場にトリアージセンターを作って治療を続けたという。
勇敢な行為は多くの人に賞賛されているが、ピアースさんは、「自分はヒーローじゃない」と強調。「これが私たちの仕事です。全ての看護師、全ての医療従事者、警察は、自らの仕事をするためにここにいます」と話している。