イギリスのロックバンド「クイーン」の誕生から活動のピークまでを再現する映画「ボヘミアン・ラプソディ」(ブライアン・シンガー監督)が11月9日、全国一斉に公開された。
優れた歌唱力と独特な演出で人気を誇ったボーカル、フレディ・マーキュリーさんがエイズで亡くなってから27年。残されたメンバーは今なお、クイーンとして活動を続けている。
映画では、マーキュリーさんの実際の歌声やほかのメンバーによる演奏の音源がふんだんに使われ、ファンにとっては感動のシーンが目白押しだ。
作中で使われた主な曲を紹介する。
愛にすべてを(Somebody To Love)
炎のロックン・ロール(Keep Yourself Alive)
キラー・クイーン(Killer Queen)
男をとりこにすることができる高級娼婦をイメージした曲。歌詞中に高級シャンパン「モエ・エ・シャンドン」や、当時冷戦で世界を二分する形で対立していたアメリカのケネディ大統領やソ連の最高指導者フルシチョフ氏の名前が出るなど、独特の作風に仕上がっている。
イギリスではヒットチャート2位を記録し、クイーンの楽曲中、最も人気のある一つとなっている。
ファット・ボトムド・ガールズ(Fat Bottomed Girls)
ボヘミアン・ラプソディ(Bohemian Rhapsody)
この映画のタイトルにもなっている、クイーンの作品で最も有名な曲。イギリスでは1975年と1976年、1991年と1992年にヒットチャート1位を獲得した。
演奏時間が約6分という異例の長さに加え、アカペラやバラード、オペラ、ハードロックと曲調が目まぐるしく変わるなどの特徴を持つ。
レコード会社からは当初「売れない」との難色を示されたが、その予想に反して大ヒットを飛ばし、今なお人々から愛され続ける名曲となっている。
ナウ・アイム・ヒア(Now I'm Here)
愛という名の欲望(Crazy Little Thing Called Love)
アメリカで生まれた音楽ロカビリーを意識した曲調。アメリカのヒットチャート(ビルボード誌)で初めて週間1位を獲得するなど、アメリカ人に愛された曲。
ラヴ・オブ・マイ・ライフ(Love Of My Life)
マーキュリーさんが当時交際していた女性との恋愛について歌ったとされる曲。一度は婚約もしていたが、マーキュリーさんはゲイとしての自らのセクシャリティーを自覚し、別れを決意した。だが、生涯を通じて彼女とは友であり続けた。そんな2人の関係が映画でも描かれている。
ウィ・ウィル・ロック・ユー(We Will Rock You)
「ドン、ドン、チャ」の有名なリズムをバックにマーキュリーさんの力強い歌唱力が光る。このリズムはドラムを使わず、メンバーらが床を足で踏み鳴らし、手をたたくことを何度も繰り返して多重録音して完成させた。
そのテンポのよさからスポーツの試合などで使われることが多い。
地獄へ道づれ(Another One Bites The Dust)
アメリカ最大のヒット曲。マイケル・ジャクソンさんの説得もあってシングルリリースすることになった。
ディスコ調でもあり、クイーンの楽曲の中では異色。特徴的なベースラインを、担当のジョン・ディーコンさんがどうやって生み出したのか、その「誕生秘話」が映画でも描かれる。
ブレイク・フリー(自由への旅立ち、I Want To Break Free)
自由と解放をテーマにしたこの曲は、当時圧制下に南アメリカでヒットし、反独裁のテーマソングとなった。ミュージックビデオではメンバー全員が女装して登場し、驚かせた。
アンダー・プレッシャー(Under Pressure)
イギリスのミュージシャン、デビッド・ボウイさんも加わった楽曲で、イギリスのヒットチャートで1位を獲得。クイーンの代表作の一つでもあり、多くのミュージシャンにカバーされている。
リヴ・フォーエヴァー(Who Wants To Live Forever)
レディオ・ガ・ガ(Radio Ga Ga)
テレビやビデオが台頭してきた時代におけるラジオ応援ソングと言われている。各国で人気を得た。映画ではハイライトになっているライブのシーンで登場する。
ハマー・トゥ・フォール(Hammer To Fall)
伝説のチャンピオン(We Are The Champions)
「ウィ・ウィル・ロック・ユー」と「両A面」でシングルリリースされた曲で、ライブやベスト盤などでもひとつづきで歌われることが多かった。
ドント・ストップ・ミー・ナウ(Don't Stop Me Now)
日本で人気のある曲。数々のミュージシャンがカバーした。
ショー・マスト・ゴー・オン(The Show Must Go On)
マーキュリーさんがエイズで亡くなる直前に発表された曲。彼の体調はこの頃すでに悪化していたが、なんとか完成にこぎつけた。
題名は直訳すると「ショーは続かなければならない」だが、「やめるわけにはいかない」を意味する慣用句でもある。死期が迫りながらも曲を作り続けようとした彼の生き様を表しているといえる。