サルに見放された? 動物園が大ピンチ エサ場に現れず、来客激減

量を減らしたら、見向きもされなくなり…
高崎山自然動物園の猿
高崎山自然動物園の猿
時事通信社

野生の猿を間近で観賞できる大分県大分市の高崎山自然動物園が、えさをやる寄せ場に猿が現れなくなり、頭を抱えている。来場者数も激減し、窮地に立たされている。

猿の群れ同士の覇権争いや、増えすぎた頭数を抑えるためえさの量を減らしたことで、猿が山奥に引きこもってしまった可能性があるという。

動物園が11月8日、ハフポスト日本版の取材に答えた。

同園は元々、農作物を荒らす「猿害」防止のため、1カ所にえさを撒いたところ猿が集まり、観光資源となった。寄せ場を設け、高崎山から下りてきた野生の猿の群れを鑑賞したり、触れ合ったりできる。

高崎山にはB群(642頭)とC群(588頭)が生息し、午前はC群、午後はB群と交代で寄せ場に姿を見せるのが一般的になっていたという。

広報担当者によると、異変が起きたのは5月ごろ。C群は毎月10日ほど猿が現れない日が続き、9月には22日間、10月も12日間ほど姿を見せなかった。B群も、えさが豊富になる夏場は山にこもるため、来園しても名物の猿が見られない状態になってしまったという。

広報担当者は、B群とC群の覇権争いやえさの減量が、猿が姿を消した原因ではないかと指摘する。

C群はここ数年、リーダー格の猿が相次いでB群に移籍したことで弱体化。冬は寄せ場をB群に占拠され、近づきづらくなった。そのため、「えさにありつけないと思ってしまい、(夏場も)寄せ場に来ない習慣がついてしまったのではないか」(広報担当者)。

一方動物園側は、ピーク時に2000まで増えた頭数を800に抑えようと、ここ20、30年にかけてえさを減量。その結果、B群も寄せ場に「魅力を感じなくなった可能性がある」という。

広報担当者は「えさが減ったことで、群れの中心の猿しか食べられない。他の猿がえさを求めて移動することで、群れ全体に(寄せ場から離れる)動きができる。猿は群れで動くので、寄せ場に定着しなくなっている」と説明する。

この影響で、来場者数は前年同期と比べて3万人弱も減っている。動物園側はFacebook上で猿の出現状況を報告し、対策として「職員が山に入って猿が寄せ場に戻ってくるよう努力している」と話している。

注目記事