アメリカのワシントン・ポストは10月4日、ウェブ版に"異例"のコラム記事を掲載した。
記事の冒頭には「Global Opinions(グローバル・オピニオン)」と書かれ、執筆者は「ジャマル・カショギ」となっている。しかし、中身はまったくの「白紙」だ。サーバーの設定ミスか。いや、そうではない。
このスペースには本来、10月2日以降行方不明になっているサウジアラビアの反対制ジャーナリスト、ジャマル・カショギさんが寄稿するはずだったのだ。
カショギさんは2日、トルコ・イスタンブールにあるサウジ領事館に入った後に行方不明となり、サウジ政府による殺害疑惑が浮上している。記事の空白は、ワシントン・ポストの無言の抗議だった。
この「空白のコラム」の末尾には編集後記として、以下の文章が掲載されている。
ジャマル・カショギさんはサウジアラビアのジャーナリストで、作家であり、ワシントン・ポストの「グローバル・オピニオン欄」のコラムニストです。上の欄にはカショギさんの言葉が掲載されるはずでしたが、火曜日の午後にイスタンブールのサウジ領事館を訪問して以降、カショギさんと連絡が取れていません。
産経新聞によると、この「空白のコラム」は、10月5日付の紙面でも掲載された。紙面には「失われた声(A missing voice)」という見出しが付けられたという。
サウジ政府は報告書を準備か「尋問中に誤って死なせた」
BBCによると、カショギさんは10月2日、結婚用の書類手続きのためにイスタンブールのサウジ領事館を訪問し、消息を絶った。
トルコの捜査当局はカショギさんが館内で殺害されたと見ているが、サウジ側は「カショギさんは領事館を退出した」と主張し、殺害疑惑を否定。しかし、ワシントン・ポストが12日、トルコ側がカショギさんの殺害を証明する映像と音声の記録を入手したと報じた。
真相究明のため、トルコとサウジ政府の合同捜査班は15日からサウジ領事館の捜索を開始。
CNNは15日、関係者筋の話として、サウジ政府がカショギさんを「尋問中に誤って死なせた」とする報告書の準備を進めていると報じた。