大阪府警富田林署で留置中に逃げ出したとして加重逃走の疑いで再逮捕された樋田淳也容疑者(30)が、約3週間前から自転車で日本一周していた男性(44)と行動をともにしていたと9月30日、朝日新聞デジタルなどが報じた。
男性は樋田容疑者の素性に気づいていなかったとみられる。
朝日新聞デジタルによると、樋田容疑者は9月29日夕、山口県周南市の道の駅「ソレーネ周南」で餅や菓子パンなど(約1000円相当)を万引きしたとして山口県警に窃盗容疑で現行犯逮捕された。
顔写真が酷似し、指紋も一致したことから樋田容疑者と断定。大阪府警が30日、加重逃走容疑で逮捕した。
毎日新聞によると、樋田容疑者は自転車で道の駅を訪れていたという。自転車は白のスポーツタイプで、荷台には傘や釣りざお、リュックサックなど大量の荷物がくくりつけられていた。逃走当日、大阪府羽曳野市で盗まれた自転車だったことも判明した。府警は樋田容疑者が自転車旅行者を装っていたとみている。
樋田容疑者は身柄を確保された当時、自転車旅行をしていた別の男性と行動をともにしていたという。産経WESTによると、この男性は自転車で日本一周旅行中で、樋田容疑者とは愛媛県内の道の駅で知り合った。
2人は野宿したり、道の駅を利用したりして一緒に行動。別々に移動することもあったが、事前に待ち合わせ場所を決めて合流していたという。
2人はしまなみ海道を通って愛媛県から山口県へ渡った可能性がある。
周南市の道の駅で樋田容疑者が店内に入っていた際、男性は外で「服を乾かしていた」という。樋田容疑者が戻らなかったため、いったん現場から離れたという。
朝日新聞デジタルによると、男性が一緒に行動していた人物が樋田容疑者だと知らされると驚いた様子だったという。府警は男性は事件と無関係とみている。
大阪府警本部長、早朝に異例の謝罪
樋田容疑者の逮捕を受け、広田耕一本部長ら府警幹部が9月30日早朝、記者会見を開き、「大変な不安と心配をおかけした。深くおわび申し上げる」と謝罪した。時事ドットコムなどが報じた。
容疑者逮捕の会見に本部長が出席するのは異例だ。樋田容疑者の逃走を防げず、約1カ月半にわたって身柄を確保できなかったことに府警への批判が高まっていた。そうした事態を重く受け止めたとみられる。
「全容を解明し、同種事案の再発防止策を徹底する」。広田本部長は厳しい表情で何度も頭を下げた。
樋田容疑者は5月以降、強制性交や強盗傷害などの容疑で計4回逮捕されていた。8月12日、富田林署で弁護士との接見が終わった後に面会室のアクリル板を押し破って逃走、自転車やバイクを盗みながら行方をくらました。
大阪府警は3000人体制で樋田容疑者の行方を追ったが、8月15日を最後に足取りが途絶えた。府警には批判の電話が殺到、本部長は9月26日、府議会本会議の冒頭でも異例の謝罪をした。