スコットランド政府が、女子学生約40万人に、ナプキンやタンポンなどの生理用品を無料で提供する、とガーディアンなどが報じた。2017年に実施した半年ほどの試行期間を経て、本格実施に踏み切る。政府によると、予算は520万ポンド(約7億5000万円)。生理用品の無償化事業を国単位で導入するのは世界で初めてという。
事業を導入する背景には、貧しさから生理用品すら容易に買えないために、女子生徒が学校を休んだり、靴下やティッシュなどで経血漏れを防いだりしているという、イギリス全土の「月経の貧困」の状況が明らかになってきたためだ。
BBCの記事によると、スコットランドの隣、イングランド北部のリーズを拠点にしている「フリーダム・フォー・ガールズ」に、地元ウエストヨークシャー州の学校から相談があったという。
同団体は女性支援の一環で、ケニアの女性に生理用品を配る活動をしているが、同様に、地元の学校の女子生徒にも生理用品を配ってくれないかと相談されたという。
BBCの取材に、女子生徒がタンポンやナプキンを使わずに月経をどう乗り切るかを答えている。
「下着にソックスを巻き付けて血が流れ出すのを防いでいる。あと、帰宅まで下着が濡れないように、下着にティッシュを巻き付けておく。ティッシュをセロテープで止めたこともあった。ほかにやり方が分からなかったから」
状況が明らかになるにつれ、公的支援を求める声も広がり、2017年11月には、支援団体などが首相官邸前で生理用品の無償配布を求めるデモを開き、実情を訴えた。
イギリスの子どもの権利擁護団体「プランインターナショナルUK」が2017年12月に公表した調査によると、英国の女性の10人に1人が生理用品を買えなかったり、7人に1人が生理用品を経済的理由から友人に借りたりした経験があるという。
プランインターナショナルUKの責任者は次のように指摘する。
「月経の貧困は、この国の少女たちが現実に直面している困難だ。自分らしさや自己肯定感にまで影響を与えている。21世紀のイギリスで、こんな問題が存在するべきではない」
「タブーを崩すために社会的に取り組むアプローチが必要だ。また、多くの少女たちが月経をどう管理するかということを理解していないという衝撃の現実に対応する教育プログラムも必要だ」