国民的マンガ・アニメ「ちびまる子ちゃん」などで知られる漫画家のさくらももこさんが8月15日、乳がんのため53歳で亡くなった。
さくらさんのもう一つの代表作が、「COJI-COJI(コジコジ)」だ。『きみとぼく』(ソニー・マガジンズ)で1994年から1997年まで連載された。
舞台は「メルヘンの国」。主人公は、年齢・性別も不明のマイペースなキャラクター、コジコジ(宇宙生命体)。
他の登場人物は、頭がやかんの「やかん君」、半分が鳥、半魚鳥の「次郎」など、現実にはあり得ないキャラだ。しかし、内気で卑屈だったり、ひょうきんだったり、コンプレックスを抱えていたりと、現実の人々と同じように悩みを抱えて暮らしている。
社会の規範に縛られず自由に振る舞うコジコジの言動に、なかまたちは翻弄されながらも、時々ハッとさせられる。コジコジの言葉には、さくらさん流の人生哲学が織り込まれていた。
大人のファンを虜にした、コジコジの名言を振り返る。
(先生)「なにっ!? 遊んで食べて寝てるだけじゃないかっ」
「えっ 悪いの? 遊んで食べて寝てちゃダメ?」
(先生)「コジコジ...キミ...将来一体何になりたいんだ それだけでも先生に教えてくれ なっ」
「コジコジだよ コジコジは生まれた時からずーっと 将来もコジコジはコジコジだよ」
メルヘンの国の住人は「ミッキーマウスのように人を楽しませる使命がある」ので、勉強しなさいと説く先生とコジコジのやり取り。怒っていた先生がガーンとなり、コジコジが鮮烈なデビューを飾った瞬間だった。なお、コジコジはギャグ漫画なので、オチがある。この言葉に感銘を受けた次郎が、家に帰ると...。(コミックス1巻第1話「コジコジはコジコジ」より)
「神様は心の中をウロウロしているので この辺をウロウロしていません」
メルヘンの国を訪れたゲタ屋一家が神様と間違えられて大歓迎を受ける。その話を聞き、歓迎を期待してやってきた別のゲタ屋にコジコジが言ったセリフ。冷水をかけられながらも、ゲタ屋は「そうだよなァ」と我に返る。(コミックス3巻第22話「江戸ッ子の国のゲタ屋一家がやってきた」より)
(ミミズ)「コジコジ キミも貴重品はまとめておいた方がいいよ」
「あっミミズ君 貴重品て何?」
(ミミズ)「宝物とか大切な物だよ 嵐で家が危なくなったら持って逃げるのさ」
「へーじゃあコジコジは家もないし宝物もないから何もしなくていいんだね」
メルヘン国に嵐が来ると聞いてコジコジの反応。所有について問うコジコジ(コミックス1巻第8話「嵐が来るぞ!!」より)
「元気でね」
月見祭に出かけたコジコジとなかまたち。クライマックスで満月に託して「想いを伝えたい人へ、心を込めてメッセージを送りましょう」と呼びかけられたなかまは、冷たくしてしまった相手を想っていた。一方、コジコジが通りすがりに会っただけのモグラに送ったメッセージが、これ。しかし、メッセージはすぐに伝わったのだ。(コミックス2巻第10話「今夜はタヌキ村のお祭だ」より)
(タコの弟)「おまえバカだろ バーカ」
「そうだよ よく知っているね キミは物知りだね」
(タコの弟)「なんだよその帽子 変なのっ アハハ」
「そうだよ 変なんだ アハハ」
(タコの弟)「なんだよ からかいがいのない奴め」
弟が生意気で困っているから面倒を見てほしいとタコに相談を受けたコジコジと弟のやり取り。クソリプにはこう対応すればいいのかもしれない。(コミックス1巻第9話「海水浴へ行こう」より)
「ブヒブヒ達はそろそろ死んだかなぁ。まだ生きてるかなぁ」
(次郎)「コジコジよく平気でそんな事が言えるなァ...」
「なんで? じゃあどういう顔で言えばいいの?」
(次郎)「だって一応クラスメートたぞ たぶん死んでるけどそんなに平気な顔で言うなよ もう少しこう悲しい顔するとか...一応な」
「体が死んでもたましいは生きてるよ。ブヒブヒもスージーもまたいつか会えるのに次郎君そんな事も知らなかったの?」
(次郎)「俺は死んだことないから そんな事は知らんぞ」
メルヘンの国の悪者、ブヒブヒとスージーの悪行に対してカメ吉君が禁断の技「カメの思い出」で攻撃したシーンで、傍観していたコジコジと次郎のやり取り。
またいつか、会えるのかな。(コミックス1巻第4話「メルヘンの国の悪者たち」より)