「マタニティマークを付けた人が、爽健美茶を飲んでいたので必死で止めた」とする根も葉もないツイートが拡散している。販売元のコカコーラは8月24日、ハフポスト日本版の取材に対し、こうした噂は信ぴょう性のないもので「爽健美茶は妊婦が飲んでも問題ありません」と答えた。
同社広報は「爽健美茶は発売以来25年が経ちますが、お客様からそうした苦情は承っておりません」「老若男女、あらゆるお客様に美味しくお飲みいただけるように設計されたブレンド茶です。安心してお召し上がりください」と答えた。
8月下旬、Twitter上である投稿が話題になった。
あるTwitterユーザーは、マタニティマークを付けた人が「爽健美茶」を飲んでいるところに出くわし、飲むのをやめるよう「必死で止めた」とツイート。その理由を、爽健美茶はカフェインが入っていないものの、「ハトムギ」の成分が含まれており、流産の危険があるというのだ。
赤ちゃんを異物として排出? 危険性なし
投稿したユーザーは、そのなかで「ハトムギは赤ちゃんをイボと同じ異物と判断して身体から排出」すると言及。拡散希望のハッシュタグをつけたためか、投稿から5日間で約4000件リツイートされた。
また、「妊娠中にハトムギ茶を飲んではいけない」などと危険視するようなブログも散見される。
発売元の日本コカ・コーラ社に問い合わせたところ「通常の『爽健美茶』、『爽健美茶 健康素材の麦茶』ともに妊娠中の方が飲んでも全く問題ありません」と話した。爽健美茶が流産に直結するというエビデンスはなく、流産するというのは噂で信ぴょう性のないものであり、「現在までに流産したなどといった報告や、危険性について指摘を受けたことはない」という。
同社はホームページ上の質問のなかで「『爽健美茶 健康素材の麦茶』は、疾病に罹患している者、未成年者、妊産婦(妊娠を計画している者を含む)及び授乳婦を対象に開発された食品ではありません。ご飲用についてはかかりつけの医師にご相談ください」と表記している。
医師の見解は?
金沢大学・補完代替医療学研究室の特任教授で、産婦人科医である鈴木信孝氏は「古来、妊娠初期のハトムギ摂取は流産の危険性があるので、摂取はひかえるべきであるという伝承があったが、これについて我々は、ハトムギに発生したカビ毒による子宮収縮作用によるものであると考えている」と講演で述べている。
鈴木特任教授は、ハトムギの抽出物を、妊娠したラットに通常の漢方薬としての常用量の12.5~25倍、10 日間経口摂取させても、流産率、早産率、胎内死亡率に変化はみられなかったとして、「ハトムギは度を越えた使用をしない限り、妊娠中でも安全に使用できる」と結論付けている。
ただ、薬などでハトムギエキスを使うものを投薬する場合は、薬の添付文書にあるように、医師に相談して内服するのが望ましいとした。