ネットメディアを舞台にしたNHKの土曜ドラマ『フェイクニュース』が、10月に前後編で連続放送されると8月14日、同局が発表した。主演は女優の北川景子が務め、『アンナチュラル』(TBS系)や『逃げるは恥だが役に立つ』(同系)を手がけた野木亜紀子氏がオリジナル脚本を担当する。
ドラマの題材は、ネット上に氾濫する「フェイク(偽)ニュース」。SNSに投稿されたインスタント食品への青虫混入騒動をきっかけに、フェイクニュースが飛び交い、何が本当で何が嘘かわからない世界で記者が真実を追い求める模様を描く。
北川は、大手新聞社からネットメディアに出向し、青虫混入騒動を取材する記者・東雲樹を演じる。ネットメディアの編集長役として新井浩文、青虫混入の投稿をする男役として光石研のほか、永山絢斗や矢本悠馬らがキャストに名を連ねる。
「フェイクニュース」という言葉は、2016年のアメリカ大統領選で大量の偽情報がネット上に拡散されたことが問題視され、注目を集めた。これ以降、情報の真偽を検証する「ファクトチェック(事実確認)」や、受け手側が各メディアの特性を理解し、主体的に情報を読み解く「メディアリテラシー」の教育などの必要性が広く論じられるようになった。
NHKドラマ初主演を務め、脚本・野木氏と初タッグを組む北川は、「何が真実で何が嘘なのか、溢れる情報を取捨選択する力、何を信じるべきなのか判断する力が、現代を生きる私たちには必要だと感じます」とコメント。「ネット社会の今だからこそみなさんに見ていただきたい作品です」と意気込みを語っている。
野木氏がNHKドラマで脚本を手がけるのは、同ドラマが初。野木氏のコメントによると、2017年春頃からプロデューサーとオリジナル脚本ドラマの話し合いを始めたという。野木氏は「『NHK!社会派!現代社会に警鐘!』なんていうと難しいドラマのようですが、いうても青虫です。青虫と登場人物たちの悲喜こもごもを、軽い気持ちで観ていただけたら幸いです」とコメントしている。
プロデューサーの北野拓氏は、「社会性とエンタメ性が融合した新たな形の社会派エンターテインメントドラマを目指して作っております」と熱意を語った。
また、同ドラマでは、ハフポスト日本版の記者がネットメディア考証を担当する。前編は10月20日(土)午後9:00〜9:49、後編は27日(土)午後9:00〜9:49に放送予定。
▼主演・北川景子コメント
今回、私は大手新聞社からネットメディアに出向してきた樹という女性を演じます。元大手新聞社の記者であったプライドを持つ熱い女性です。記者である以上、きちんと裏ドリや取材をしてから真実を報じるべきだと、信じて疑わない樹は、ネットメディアに対しては一般素人でも簡単に記事を投稿でき、誰でも、たとえそれが真実でなくとも世の中に発信できてしまう危険なものであり、真実が歪曲されてしまうことも多々あると日々ネットメディアに勤務しながら釈然としない思いを抱いています。そんな樹がひょんなことからSNSで話題の事件の真相をとことん調べることになる、というのが、とても面白いと思いました。
何が真実で何が嘘なのか、溢れる情報を取捨選択する力、何を信じるべきなのか判断する力が、現代を生きる私たちには必要だと感じます。
今回のドラマでは、真実をあぶり出すことをテーマに熱く演じたいと思います。真実と嘘、人は何を信じるのか、そんな普遍的なテーマを野木さんがエンターテイメント性あふれる脚本で書いてくださっています。野木さんとも初めてご一緒させていただき嬉しく思います。私個人としましては土曜ドラマも初となります。ネット社会の今だからこそみなさんに見ていただきたい作品です。楽しみにしていてください。
▼脚本・野木亜紀子氏コメント
2017年の春、北野プロデューサーから「オリジナルが作りたい」という話をいただき、じゃあ互いに興味があるネタはなんだろう、と話し合っているうちに合致したのが「フェイクニュース」でした。当時はまだファクトチェックどころかフェイクニュースという言葉そのものが一般に浸透していなかったため、フェイクニュースとはどういうもので何が問題かという「フェイクニュース入門」のドラマを考えていました。年が明け2018年。前の仕事がようやく終わり、さあ書くぞと周囲を見まわしたら、フェイクニュースを取り巻く状況は一変していました。当初のプロットはすべて捨て、まるっきり新しいドラマを作ることにしました。おそらく半年もすれば今の内容も古くなっていることでしょう。一方で、このドラマで描いている混乱は、半年後、一年後、十年後ですら変わらずに起こるような気もしています。まったく喜べません。とはいえ、これはフィクションです。エンターテインメントドラマです。「NHK!社会派!現代社会に警鐘!」なんていうと難しいドラマのようですが、いうても青虫です。青虫と登場人物たちの悲喜こもごもを、軽い気持ちで観ていただけたら幸いです。
▼プロデューサー・北野拓氏コメント
"嘘が事実にされ、事実が嘘にされていく"。真実が価値を持たなくなった時代に、テレビドラマは何ができるのか。
今回、脚本の野木さんと考え続けて出した答えが、ニュースのようなスピード感で、今、この社会で起きていること、そして、そう遠くない未来に起きうる事を物語にすることでした。
NHKドラマ初主演の北川景子さんとNHKドラマ初執筆の野木亜紀子さんという最強のタッグを迎え、社会性とエンタメ性が融合した新たな形の社会派エンターテイメントドラマを目指して作っております。
ぜひご期待ください!