なんの前触れもなく現れ、様々な面で改善が図られている新型MacBook Pro。その1つである第3世代バタフライキーボードについて、ゴミがバタフライ機構に入るのを防ぐためにシリコン膜を導入したことをアップルが認めているとの噂が報じられています
アップル関連情報メディアMacRumorsは、複数の信頼できる情報筋からアップルの正規サービスプロバイダに配布された内部文書を入手し、キースイッチ周辺を覆う「薄い膜」(シリコン膜)がゴミ侵入対策であるとの記述を発見したとのこと。
アップル公式には、キーボードの改良は静音化だけを目的と述べていましたが、「本来の目的」が明らかになったのかもしれません。
MacRumorsによると、カナダとヨーロッパ向けの2018年型MacBook Proサービス準備ガイドからの抜粋は以下の通りです。
キーボードのキーキャップの下にはメンブレン(薄い膜)があり、バタフライ機構へのゴミの侵入を防いでいます。スペースバーの交換手順も以前のモデルから変更されています。キーキャップ部品の出荷が始まると、修理ドキュメントとサービスビデオが利用できるようになります。
この文書の米国版では「薄い膜」の記載はないものの、「MacBook Pro(2018)バタフライ機構キーキャップの交換」という別の内部文書へのリンクが含まれれいるとのこと。その記述は、次のようなものです。
注意:キーボードのキーキャップの下にはメンブレンがあり、バタフライ機構へのゴミ侵入を防いでいます。薄膜を裂かないように注意してください。膜の破損は、トップケースごと交換となります」
早すぎるIT解体ネタ公開でおなじみのiFixitは、第3世代バタフライキーボードをさっそく分解して、キースイッチの周囲をシリコン膜が覆っていることを報告しました。
この構造はアップルが2016年に出願した「キーボードへの侵入防止」特許(キーの下に薄い膜を張ることで液体やゴミを防ぐ)に似通っていることは、すでに指摘されています。
2015年に製造されたMacBookおよび2016年製造のMacBook Proに搭載された第1世代バタフライキーボードは、「少量のほこりやゴミが入り込むとスイッチ動作を妨げ、キーストロークが認識されなくなる設計」として、もっか集団訴訟の対象となっています。
アップルが社内的には「第3世代はゴミ侵入対策」と明言しながら、表向きには(ゴミ侵入対策の結果として、副次的にもたらされているかもしれない)静音化だけを述べているのは、「ゴミ侵入対策をしたと公言」=「これまでの製品に欠陥があったと認めた」と受け取られかねず、訴訟に影響を及ぼすことを避ける意図なのかもしれません。
従来モデルのキーボードに不具合があった場合、アップルはキーボード無償修理プログラムで対応すると発表しています。
どうせなら、第1や第2世代バタフライキーボードを第3世代に交換してもらえないか......と考えるのが人情ですが、アップルはMacRumorsに対して「できません。第3世代キーボードはMacBook Pro(2018)専用です」と回答ずみです。
たしかにiFixitの新型MacBook Pro分解結果によれば、全体的な外観こそ似ているものの、ケース内部やボードに細かな変更点があり、過去モデルとは部品の互換性がない可能性もうかがえます。
打鍵音が静かになっただけでなく、ゴミ侵入にも強いとアップルからお墨付きが得られたかもしれない新MacBook Proの第3世代キーボード。これだけで従来モデルから買い替える理由とはなりにくそうですが、すでに買った人は1つ加わった幸せを噛み締めてはいかがでしょう。
(2018年7月20日Engadget日本版 「新MacBook Proのシリコン膜、実は「ゴミ侵入対策」? 内部文書で認めたとのうわさ」より転載)
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