船で片道24時間かかる絶海の孤島「小笠原諸島」での空港建設計画をめぐって、フランス製のプロペラ機「ATR42-600S」を運航させるプランが浮上した。NHKニュースが報じた。
■小笠原諸島の空港問題とは?
小笠原諸島は東京都に属しているが、都心からは約1000キロ離れている。世界遺産に登録された豊かな自然で「東洋のガラパゴス」とも呼ばれる。
飛行場は存在しない。本土からのアクセスは約6日に1往復の貨客船「おがさわら丸」だけだ。重症患者などは自衛隊に搬送を依頼しているが、それでも平均9時間かかる。
小笠原諸島の空港建設をめぐっては、1990年代から建設候補地が浮かんでは頓挫してきた過去がある。島の内外から、環境破壊を指摘する声が根強かったからだ。
小池百合子知事は6月30日、滑走路を従来計画の1200メートルより短い1000メートル以下で検討する方針を表明。「1000メートル以下の滑走路で運用可能な機材について調査分析を指示した」と述べていた。
東京都は7月12日、小笠原村との協議会を都庁で開いた際に、滑走路の長さを1000メートルに短縮することで周辺の峠を低くする際に切り出す土の量が減るほか、海に突き出す滑走路の長さが短くなり、自然環境への影響が軽減されると報告した。
滑走路を短くするために、使用する機体は「ATR42-600S」を想定することにしたという。
■ATR42-600Sとは?
航空情報サイト「Fly Team」などによると、「ATR42-600S」はフランスの航空機メーカー「ATR」が開発中の48人乗りの飛行機。
既存機の「ATR 42-600」が離着陸に必要な滑走路の長さが約1000メートルだったのに対して、約800メートルに短縮されているのが特徴だ。洲崎地区の1000メートル級の滑走路にも対応できそうだ。
NHKニュースが都の情報として報じたところによると、ATR側は2年後の販売開始を目指している。小笠原村の森下一男村長は「この機材は一番可能性があると思うので、1日も早い開設ができないか、都には実務的な検討に入って欲しい」と話していたという。