麻原彰晃死刑囚の遺体を火葬 遺骨は四女へ引き渡しか 「神格化」を警戒

オウム真理教元代表・松本死刑囚の意向を優先し、遺骨は四女側に引き渡す方針。
麻原彰晃死刑囚への死刑執行を伝えるTVモニター
麻原彰晃死刑囚への死刑執行を伝えるTVモニター
TOSHIFUMI KITAMURA via Getty Images

死刑が執行されたオウム真理教元代表の麻原彰晃(本名:松本智津夫)死刑囚の遺体が7月9日午前、都内の斎場で火葬された。NHKニュースなどによると、遺骨は四女側に引き渡す方針という。

麻原死刑囚は、地下鉄サリン事件など数々の事件を引き起こした首謀者として死刑が確定。7月6日に執行された。

公安当局は、麻原死刑囚の遺骨が後継団体の布教に利用されることなどを懸念している。死刑執行による麻原死刑囚の「神格化」も懸念されており、遺骨を奪い合う内部抗争も警戒しているという。

遺体の引き取り先をめぐっては、法務省が遺体を引き渡す方向で調整している四女と、引き渡しを求める妻側で意見が対立している。

共同通信毎日新聞などマスコミ各社は7日から8日かけて、麻原死刑囚が刑が執行される直前に自らの遺体を、四女に引き渡したいと拘置所職員に言い残していたと報じた。いずれも関係者の証言だという。

一方、死刑が執行された麻原死刑囚の妻らは、「特定の人を引き取り人として指定することはあり得ない」と拘置所側の主張に反発している。7月7日には、東京拘置所に安置されている遺体の引き渡しを求めて、上川陽子法相と同拘置所長あての要求書を提出した

要求書は妻のほか、6人の子どものうち長女と四女を除いた4人の連名だという。6日に死刑が執行された松本元代表の遺体について「極秘の安置所に安置し、葬儀などの儀式はせずに弔い、遺骨は金庫に厳重に保管管理する」としている。

妻側らの反発もあり、遺体の引き取り先は決まっていないが、遺族全員が麻原死刑囚の火葬に同意したため、東京拘置所が主体となって火葬を行なった。法務省は本人の意向を優先し、遺骨を四女側に引き渡す方向で調整に入ったという。

松本聡香(さとか)さんのペンネームで知られる麻原死刑囚の四女は、記者会見で教団との決別を宣言し、両親と「縁切り」している

四女は7月6日、「松本死刑囚は一度の死刑では足りないほどの罪を重ねましたが、彼を知る人間の一人として今はその死を悼みたいと思います」と、以下のコメントを発表していた

私の実父松本智津夫が多大な迷惑をおかけした被害者の方、ご遺族の方、信者のご家族、元信者の方、刑務官の方、そして世間の皆さまに改めて深くお詫び申し上げます。

死刑が執行されたことにより被害者の方、ご遺族の方が少しでも心安らかな日々を取り戻せることを心より祈っております。

松本死刑囚は一度の死刑では足りないほどの罪を重ねましたが、彼を知る人間の一人として今はその死を悼みたいと思います。

執行はされるべきものでしたが、ただひとつとても残念に思うのはかつての弟子であった元幹部まで6人も執行されたことです。宗教的な理由においても、責任の重さにおいても、今日の執行は教祖一人でないといけなかったと思います。洗脳されて事件に関与してしまった元幹部の執行の是非はもっと議論され熟慮のうえでないと社会に課題を残してしまうのではないかと心配です。

まだ信仰を続けている信者には、これ以上松本死刑囚の罪を増やさないようにどうか後追いなどしないで、早く夢から覚めてほしいと願っています。

注目記事