サッカー・ワールドカップ(W杯)で、日本は6月25日未明、大一番のセネガル戦を迎える。両チームとも勝ち点3で並び、グループHでトップ。勝った方が決勝トーナメント進出(ベスト16)に大きく前進する。
手に汗握る試合の中で、ひときわ注目したい「対決」がある。日本のDF吉田麻也(29)とセネガルのFWサディオ・マネ(26)だ。
2人はイングランド・プレミアリーグで同じチームに所属していたことがある元「戦友」。互いの手の内を知り尽くしているだけに、目が離せない。
「今の彼は"エグい"。彼のところにボールが行けば、なんとかしてくれる感じはあります。ビッグクラブでも、あのスピードを止めるのはなかなか難しい」
吉田はスポーツ雑誌「ナンバー」の取材にこう答えた。彼とはマネのこと。吉田が現在、所属しているイングランド・プレミアリーグのサウサンプトンにはかつてマネもおり、一緒にプレーした仲間だった。
マネはフォワード、吉田はディフェンダー。元同僚同士はおそらく、今回の試合で何度もゴール前の攻防を演じることになるだろう。
吉田が言うように、マネの最大の武器はスピードだ。日本の守備陣はあっという間に抜き去られる「異次元」の体験を強いられるかもしれない。
マネを含め、セネガルの選手たちは勤勉な性格を持っており、粘り強いプレーにも注意が必要だ。
マネはサウサンプトンで鮮烈デビューを飾る。2014年に当時のクラブ史上最高額(1500万ユーロ)でやってきたかと思えば、その翌年にはプレミアリーグ最速ハットトリックを成し遂げた。
そうした活躍が認められ、2016年には名門リバプールに移籍。選手らの移籍情報などを提供する「transfermarkt」によると、移籍金は4120万ユーロ(約52億円)で、マネに対する評価の高さがうかがえる。
マネも吉田について会見で触れている。サッカー総合情報サイト「サッカーキング」によるとこんなことを話した。
「僕たちはいつも一緒だった。ジムでのトレーニングなどでも一緒だったし、毎日話していたんだ。素晴らしい関係性にあるよ。今回会った時に僕と戦いたいかと聞いたが、彼は会いたくないと言っていたよ。彼はどうやれば僕を止められるか知っているだろうが、それは僕も同じことだ」
原点は路上
サッカー総合情報サイト「goal.com」によると、マネはセネガルの小さな村で生まれ育ち、幼少期からストリートサッカーに明け暮れていたという。同サイトが公開しているインタビューの中で、マネはこう答えている。
「街にいた時は、常にサッカーをしていた。街角とか試合が始まっているところではどこでもね」「2歳か3歳のころからずっとボールとともに生活しているよ。道路でサッカーしている子供たちをつけては、そこに混ざりにいっていた」
15歳の時、村から800キロ離れたダカールでトライアルを受けた。靴はすり切れてボロボロだったが、圧倒的なテクニックを見せつけ、すぐさま「スカウト」され、アカデミーに入った。そこからプロへの道が開けた。
注目の日本対セネガル戦は6月25日午前0時(日本時間)にキックオフを迎える。