トランスジェンダーであることは「精神疾患」ではない。世界保健機関(WHO)が、そう認めた。
WHOは6月18日、国際疾病分類(ICD)の改訂を発表した。ICDの改訂は約30年振りだ。
WHOは、生まれた時に割り当てられた性別と、自認する性別が異なることで苦しんでいる状態を"ジェンダー・インコングルエンス"という。トランスジェンダーの一部にはこうした状態の人もいる。
ジェンダー・インコングルエンスはこれまで、「精神、行動、神経発達の障害」に分類されていた。しかし改訂後は、障害ではなく「性の健康に関連する状態」に分類される。
Advertisement
改訂の理由を、「ジェンダー・インコングルエンスが精神疾患ではないという十分な科学的証拠が確認できたから」とWHOは説明する。また、分類を変えたことで、より適切なヘルスケアを受けられるとしている。
WHOリプロダクティブヘルス・研究部のコーディネーターを務めるラレ・セイ氏は、ジェンダー・インコングルエンスを精神疾患のカテゴリーから取り除くことで「当事者に対するスティグマ(社会的な汚名)を減らすことができます。彼らが社会で受け入れられるための、助けにもなるでしょう」と話す。
改訂に関わった、コロンビア大学のジェフリー・リード教授も「"(トランスジェンダー)が精神疾患ではない"という強力なメッセージを世界中に伝えられる」と語る。
Advertisement
WHOがLGBTQを精神疾患の分類から外したのは、今回が初めてではない。1948年に心の病に分類されていた同性愛は、1970年代に同カテゴリーから取り除かれた。
今回の改訂は2019年5月に世界保健総会へ提出され、承認されれば2022年1月から正式に採用される。