安倍晋三首相の不適切な関与の有無が問題になっている学校法人「加計(かけ)学園」による獣医学部の新設をめぐり、学園の理事長で安倍首相の友人、加計孝太郎理事長が6月19日、岡山市内で記者会見し、公の場で初めて安倍首相の関与を否定した。
2018年4月に開学した獣医学部は、設置について学園側と行政とが許認可などをめぐってやりとりしていた際、愛媛県の担当者が学園側からの報告として、2015年2月に安倍首相と加計氏が面会したと文書に記載。
許認可に向けて、学園側に対する安倍首相の働きかけがあったのではないか、との疑惑が浮上していた。
学園は2018年5月、首相と加計氏は実際には会っておらず、担当者が県に虚偽の説明をしたなどとする趣旨のファックスを報道各社に送付。渡辺良人事務局長が県幹部を訪ねて謝罪した。
ただ、その説明をめぐっては不自然な点も指摘され、中村時広・愛媛県知事は「最高責任者が公に説明するのが当然」などと求めていた。
加計氏はこの日、愛媛県が文書で記載した首相との面会について「記録を調べたところ、3年前のことで記憶にも記録にもなかった。担当者が誤解を生むようなことを言ったのは、ことを前に進めるために言ったとの報告は受けている」と釈明。渡辺事務局長が勝手にやったとの認識を示した。
獣医学部の新設をめぐり、安倍首相が働きかけをしたかについては「安倍首相との個人的な関係はございません」などと話し、友人関係が影響したことはないとした。
また、獣医学部の設置について首相とは認可が下りるまで話したことはないと断言。「我々は何十年来の友人ですし、仕事のことは話すのはやめようと。リラックスするために会うので。こちらの話なんて興味ないと思います」と述べた。
県が文書で記載した2015年2月の面会は明確に否定し、メールや電話などのやりとりもなかったとした。また、首相官邸で加計学園関係者らと面会した柳瀬唯夫元首相秘書官については、「いろんな会合では会ったが、そんな話(獣医学部の話)はしてない」と語った。
一方で、愛媛県に対しては「大変申し訳ないと思っておりますし、謝罪に行くことが許されれば行きたい」とも話した。
国会でこの問題が大きく取り上げられていることについては、「大変申し訳ございません」と述べた。
加計氏は一連の問題について、「たまたま私が総理と仲が良かったのでこういう騒動になったんだと思います。私の不徳の致すところ」と話した。
加計学園は愛媛県に対する虚偽の説明をめぐって渡辺事務局長を処分した。この日の会見で発表され、加計氏自身も監督責任を指摘された。加計氏は給与の月額10%を12カ月間自主返納するという。ただ、理事長職は続ける方針。