愛知県警鉄道警察隊は6月5日、物議を醸していた2018年度の「痴漢撲滅 キャンペーン」のポスターをすべて撤去すると明らかにした。鉄道警察隊長が取材陣に答えた。すでに撤去を始めており、県警のサイト上からも削除されている。
ポスターは6月から始まったキャンペーンの一環で、弁護士たちから「逮捕イコール有罪という誤解を生む」と批判が上がっていた。
ポスターの内容は「あの人、逮捕されたらしいよ。」という見出しの横に、LINEのような形式で、女性2人の次のようなトークが続いているというものだった。
A「聞いた? あの人、痴漢で捕まったらしいよ。」
B「えwwwwwwwww」
A「本当本当!さっきネットニュースで見た!!そんな人に見えなかったわ」
B「気持ち悪 軽蔑だわ 性犯罪者じゃん」
A「仕事もクビになるよねー。家族も悲しむだろうなあ」
B「そりゃそうだわ 私は一生関わりたくない」
A「この先どうなっちゃうんだろう...」
B「そういえば......私先月あの人と電車で偶然会ったよ」
A「そうなんだ?! 変なことされなかった?」
B「あの時は何もなかったけど」
「なんかもう、あの人のこと思い出したくもない」
A「女性の私たちも被害に遭わないよう気をつけなきゃね」
このポスターがネットで話題になると、弁護士たちからも批判の声が出た。亀石倫子弁護士はハフポスト日本版の取材に対し、次のように指摘していた。
「このポスターの一番の問題点は、逮捕の段階で、すでに裁判で有罪が確定したかのような反応をする表現が、あちこちで使われていることです。説明すると、刑事裁判で有罪が確定するまでは、たとえ逮捕されても『罪を犯していない人』として扱わなければならないのです。これは『無罪推定の原則』と呼ばれ、世界の刑事裁判の大原則です」
「こんなポスターが、県警の痴漢撲滅キャンペーンで使われていれば、多くの人が『逮捕=有罪』だと誤解するし、偏見が強まることを危惧しています」
ハフポスト日本版はポスターについて、愛知県警に取材を申し込んでいる。回答があれば追記する。