〈3分でわかる〉日大アメフト問題、これまでの経緯をイチから振り返る。

監督の指示はあったのか。真相を知る選手本人がきょう語ります。
閑散とするグラウンドをランニングする日本大学アメリカンフットボール部員=5月17日、東京都世田谷区
閑散とするグラウンドをランニングする日本大学アメリカンフットボール部員=5月17日、東京都世田谷区
時事通信社

日大アメフト部の危険タックル問題は、被害者が警察に被害届を出す事態にまで発展している。

これまで公の場に現れなかったタックルをした日大の選手本人が5月22日午後、東京都内で記者会見する。

注目されているのは、危険タックルが監督の指示によるものだったかどうかだ。

一部のメディアは、監督の指示だったという日大関係者の証言を報じた。一方、日大や内田正人監督は指示を否定している。

真相を知る選手は、いったい何を語るのか。

これまでの経緯をイチから振り返る。

無防備な選手に背後からタックル

問題の行為が起きたのは、5月6日の定期戦。パスを投げ終えて無防備な関学大の選手の背後から、日大の守備選手が激しくタックルした。関学大の選手は膝から崩れ落ちるようにフィールドに叩きつけられ、3週間のけがをした。

日大の選手はさらに複数回の反則行為を繰り返し、退場となった。試合は21-14で関学大が勝利した

プレーの悪質性に加えて、日大の内田監督の試合後コメントも物議をかもした。日刊スポーツの取材に「選手も必死。あれぐらいやっていかないと勝てない。やらせている私の責任」と釈明したという

この騒動を受け、関東学生アメリカンフットボール連盟も動いた。

背後からのタックルが、公式規則の「(無防備な選手への)ひどいパーソナルファウル」に該当すると判断し、反則行為をした日大選手の対外試合の出場を禁止すると発表。内田監督にも厳重注意した。

これに対して日大アメフト部は、一連の騒動を謝罪するコメントを発表した。

日大「意図的な乱暴行為は教えてない」

危険行為に関する日本大学からの回答を受け、記者会見する関西学院大学アメリカンフットボール部の鳥内秀晃監督(右)と小野宏ディレクター=5月17日、兵庫県西宮市
危険行為に関する日本大学からの回答を受け、記者会見する関西学院大学アメリカンフットボール部の鳥内秀晃監督(右)と小野宏ディレクター=5月17日、兵庫県西宮市
時事通信社

一方関学大は、日大側にさらなる対応を要求。抗議文を送付し、監督、守備選手からの正式な見解などを求めた。

5月17日に開いた記者会見で、日大から受け取った回答書の内容や見解を明らかにした

日大は回答書で、悪質なタックルについて、指導者はルールに基づく『厳しさ』を求めたが、選手の受け取り方に乖離(かいり)があったと説明。「意図的な乱暴行為を行うことなどを選手へ教えることは全くございません」などと記されていた。

関学大の鳥内秀晃監督はこうした点について、「なぜプレーが起きた時点で指導しなかったか」「昨年はルールの範囲内でプレーしていた選手が、なぜ突然、このような意図的でかつ悪質な行為に及んだのか」と疑問視した。

けがをした選手や保護者に直接の謝罪がなかったことに遺憾の意を表明し、「現時点で私たちが求めている誠意ある回答とは言えない」と一蹴した。

内田監督が辞意表明、反則の指示は「文書で答える」

日本大学アメリカンフットボール部監督
日本大学アメリカンフットボール部監督
時事通信社

批判の声が高まるなか、日大の内田監督は5月19日、監督を辞任する意向を示した

けがをした選手や保護者に会って直接謝罪した後、報道陣に対して、「一連の問題はすべて私に責任があり、監督を辞任します」と説明。辞任届が受理された

ただ、反則行為の指示については「関西学院大学から質問状が来ている。真摯(しんし)に受け止め調査して回答したい」と述べ、明言を避けた。

日大は現在、選手や関係者から聞き取り調査を進めており、24日をめどに関学大に伝えるとしている。

こうした対応に対して、疑問の声が上がっている。

謝罪を受けた選手の父親は、「どうしてあのようなプレーをしたのかの説明がなかったし、指示があったかも(監督が)話されなかったので釈然としない」とのコメントを関学を通じて発表

スポーツ庁の鈴木大地長官も「なぜ答えられないのかよくわからない。これだけ騒がせてしまっているのだから、できるだけ速やかに事実関係をお話してほしい」と原因究明を求めた

傷害容疑で被害届

今回の騒動は、警察が動き出す事態にまで発展した。けがをした関学大の選手の父親が、傷害の疑いで警察に被害届を提出し、受理された。

大阪市内で記者会見を開いた父親は、「加害者がなぜ、あそこまで追い込まれたか。その1点を監督の会見で言ってほしかった」と、日大の説明が不十分だったことへの憤りを語った

さらに、「息子は泣きながら『アメフトをやるんじゃなかった』と言っていた」とも明かした。

監督の指示あった?反則した選手が会見へ

今回の騒動では、反則行為が監督の指示によるものだったかどうかに焦点が集まっている。内田元監督は関学側への回答書の中で、「意図的な乱暴行為を行うことなどを選手へ教えることは全くございません」と否定。

一方で一部のメディアが、日大関係者が「監督からの指示でやってしまったものだ」と証言したと報じている。

きょう22日の午後には、反則行為をした日大の選手が記者会見を開く。

複数のメディアが、監督からの指示があったと選手が説明すると報じている

反則行為に及んだ理由をどう語るのか、注目が集まる。

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