ニューヨーク発ダラス行きのサウスウエスト航空旅客機のエンジンが4月17日、上空で爆発した。この事故で、乗客1人が死亡、7人が負傷した。
エンジンの一つを失い、機体に穴が開くという危機的な状況で、飛行機を緊急着陸させたのは、海軍初の女性パイロットの一人、タミー・ジョー・シュルツ氏(56歳)だ。
爆発が起きた時、機内はパニック状態に陥った。破片で窓ガラスが割れ、乗客のジェニファー・リョーダンさんが吸い出されそうになった。
酸素マスクが降りてくる中、乗客たちは携帯電話を使って、なんとか家族にメッセージを送ろうとしたとNPRは伝える。
しかし混乱する状況下でも、シュルツ氏は冷静さを失わなかった。航空管制官に「機体の一部が失われたので減速する必要がある」と告げ、着陸の指示を仰いだ。そして、怪我をした乗客がいるので滑走路に医療チームを待機させて欲しいと頼んだ。
公開された音声には、落ち着いてやりとりするシュルツ氏の声が残る。
シュルツ氏の的確な対応がなければ、被害はさらに大きかった可能性もある。助かった乗客たちからシュルツ氏に対し、大きな感謝が寄せられている。
乗客の一人ペギー・フィリップスさんはNBCに、エンジンが爆発した時、ほとんど全員が、もう終わりだと思ったと話す。「無事に着陸してくれたことは、奇跡に他なりません。彼女は間違いなくヒーローです」
別の乗客はFacebookに「サウスのクルーとパイロットのタミー・ジョー・シュルツの知識と勇気に、心から感謝します。彼らに神のご加護がありますように」と綴る。
ロイターによると、シュルツ氏が航空関係の仕事に就きたいと思ったのは高校生の時。しかし、女性であることを理由に断られた。
それでも夢を諦めなかったシュルツ氏は、大学卒業後に空軍に応募。空軍ではパイロットとして受け入れてもらえなかったが海軍で採用された。
その後、海軍初の女性戦闘機パイロットの一人として、FA-18戦闘機にも搭乗。そして、2001年に退役した。
現在は夫とともににサウスウエスト航空のパイロットとして空を飛ぶ。