インド映画『バーフバリ』シリーズの人気が止まらない。TwitterなどSNSで口コミが広がり、「絶叫上映会」にはコスプレ衣装に身を包む熱狂的なファンが集まる。サリーなどインドの民族衣装を扱う店にも活気が出るほどだ。
『バーフバリ』シリーズは、古代インドの「マヒシュマティ王国」を舞台に、英雄・バーフバリの壮絶な人生と復讐劇を親子二世代にわたって描いた作品。日本では2017年4月に第1部の『伝説誕生』、2017年12月29日に完結編の『王の凱旋』が封切りされた。
『伝説誕生』でもコアな映画ファンから支持を集めたが、完結編の『王の凱旋』で人気に火が付いた。クライマックス級の派手なシーンの多さ、主人公・バーフバリの超人的な強さとカリスマ性などが、観客たちを惹き付けている。
全国で100館に満たない小規模での公開だが、国内の興行収入は1億3000万円、動員数は13万人を突破した(2018年3月時点)。
『バーフバリ』の根強い人気を支えているのが、「観客が映画に"参加"して楽しめる上映会」だ。
4月7日には、声出しOK、タンバリンなど鳴り物の使用OK「オールナイト絶叫上映会」が、新宿ピカデリーで開催された。
夜23時に第1部の上映が始まり、完結編がスタートしたのは深夜1時半すぎ。上映会が終了したのは早朝4時とハードなスケジュールながら、チケットは即完売となった。
集まった観客たちは最後まで『バーフバリ』の世界観に浸り、作中に登場するキャラクターたちに熱い声援を送っていた。
「絶叫上映会」の楽しみのひとつが、参加者たちの工夫を凝らしたコスプレ姿だ。
上映前の館内は、『バーフバリ』シリーズに登場するキャラクターのコスプレや、サリーやターバンなどインドの民族衣装に身を包む参加者で溢れかえっていた。
色鮮やかなサリーを着て参加していた女性は、インドの民族衣装を扱う店で衣装を購入したという。
実際に、東京・池袋でアジアの民族衣装や雑貨を扱う店舗「インドサラサ」は、『バーフバリ』効果で店を訪れる日本人客が増えているという。
接客を務める店員の小関さんによると、『バーフバリ 王の凱旋』の公開後、徐々にTwitterなどのSNSで口コミで広がった。お店ではサリーの着付けもしており、4月7日の新宿ピカデリーでの上映会直前は、店が混雑するほどの客入りだったという。
小関さんは、「3〜4回いらして、着付けを学んでいく方もいらっしゃいます」と話す。
「熱狂的なファンの方から『バーフバリ』の評判を聞いて、上映会に行ってみたいんですが、チケットがなかなか取れないみたいで...私たちはファンの方を支える側として、頑張っていきたいと思います」
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至るところで"インドブーム"を巻き起こしている『バーフバリ』。
4月26日には、同シリーズの脚本・監督を務めたS.S.ラージャマウリ氏、プロデューサーのショーブ・ヤーララガッダ氏の来日が決まった。劇場公開から約4カ月が経っての来日は極めて異例だ。
マヒシュマティ王国の「拡大」はまだまだ続きそうだ。