「漫画村」「Anitube」「MioMio」 3つの海賊版サイトへのアクセス遮断、政府が推奨

刑法上の「緊急避難」を適用
アクセス遮断が推奨された海賊版サイト。左から「漫画村」「AniTube! 」「MioMio」
アクセス遮断が推奨された海賊版サイト。左から「漫画村」「AniTube! 」「MioMio」
Huffpost Japan

政府は4月13日、「漫画村」など3つの海賊版サイトに対するアクセス遮断をインターネット事業者(プロバイダー)が自主的に実施することを促す決定をした。

■3つの海賊版サイトとは

閣議後に開かれた「知的財産戦略本部会合・犯罪対策閣僚会議」で緊急対策を決めた。対象となるのは、漫画の海賊版サイト大手の「漫画村」と、アニメ・テレビ版の海賊版サイト「AniTube! 」「MioMio」と、その類似サイト。

児童ポルノサイト以外でのアクセス遮断を政府が認めるのは初めて。内閣府知財本部は「数ある海賊版の中でも特にアクセス数や被害額が大きいと見られることから、刑法上の緊急避難を適用してサイトブロッキングしていいという方針となった」と話している。

今後は、新たな海賊版サイトへのアクセスを遮断するために、官民の協議体を設置して適用基準などを検討するほか、アクセス遮断の法制化を目指す。菅義偉官房長官は会見で「あくまで臨時的かつ、緊急的な措置」と述べた

■普及する海賊版サイト

漫画・同人誌・アニメなどを著作権者に無断でアップロードした海賊版サイトは、本来は有料のコンテンツを、無料で閲覧できるのが大きな特徴だ。近年、若いネットユーザーの間で急速に普及していると言われている。

内閣府が作成した資料によると、日本のインターネット利用者のうち月平均で4人に1人(24%)が著作権侵害サイトにアクセスしているという。

知的財産権に詳しい福井健策弁護士は6日、Twitterで「私は緊急導入やむなしの意見です」とサイトブロッキングを歓迎

「現場対策がほぼ手詰まりであることは、自ら経験して断言できる。このまま拡大が続けば、マンガ・アニメの現場への壊滅的な影響度は予想もつかない」と訴えた

■各界から激しい反発、与党内からも反対する声

特定のサイトへの接続遮断は、電気通信事業法や日本国憲法が定める「通信の秘密」を侵害するため、法曹界やネット関連団体から反対する声が続出していた。

法律学者らによる研究機関「情報法制研究所」(JILIS)は11日、「法治国家原理からの深刻な逸脱」と断言した。プロバイダーの業界団体「日本インターネットプロバイダー協会」(JAIPA)も12日、「通信の秘密の侵害にあたる行為です」と批判した

与党内からも反発する声が出た。自民党衆議院議員の橋本岳氏は4月12日、この要請に「反対する」とブログで表明した。「何よりも、政府が特定内容の情報通信を根拠なく制限できると思うこと自体が大問題です」と訴えている。 

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