アメリカ・フロリダ州パークランドの高校で、17人が死亡した銃乱射事件以来、全米で銃規制を求めるデモが拡大している。そんな中、全米ライフル協会(NRA)が宣伝攻勢をかけている。自由を嫌う左翼がアメリカ人の基本的な権利を侵害していると警告を発したり、銃乱射事件を生き延びた若者たちについての陰謀論を広めたりと、資金、リクルート、支持集めをさかんに進めている。
この戦略はうまくいっているように見える。
NRAが事件後の2週間に集めた資金は、事故前の2週間と比べて、およそ2倍だった。資金提供をした人の数も5倍近かった。
NRAの資金調達団体への献金は、NRAが支持する政治家の選挙資金となる。CNNによると、2月の政治献金額は、1月の3倍だったという。
CRPは、献金額が急増した理由ははっきりしないが、次のような要因が考えられるとしている。
例えば、NRAがここのところ普及活動を拡大させたこと、トランプ大統領が事件後、銃規制を強化すると示唆したことなどだ(トランプ氏はその後、この問題に関して態度を一変させ、教師に銃を持たせる対策を打ち出した)。
シカゴ・トリビューンによると、NRAは事件後、数週間のうちにFacebook広告の出稿を急激に増やしている。同紙はオンライン広告の調査会社「パスマティクス」のデータを引用している。
NRAは事件前の24日間、Facebook広告に1日平均1万1300ドル(約120万円)かけていた。事件直後の4日間は広告の配信を止めていたが、その後24日間で1日平均4万7300ドル(約500万円)費やしている。
NRAは、事件以降、SNSでの入会と献金の呼びかけを強化している。銃規制を訴える抗議デモ「私たちの命のための行進」が行われた3月24日、NRAはFacebookページで「子どもたちの安全のために立ち上がり、闘おう」と訴えた。
NRAのFacebookページには、「今日の抗議デモは自然発生的なものではない。銃を嫌う億万長者やハリウッドの大物が子どもたちを操り、利用している。彼らは、(武器を持つ権利を定めた)合衆国憲法修正第2条を破壊し、自分自身や愛する人を守る権利を奪い取ろうと目論んでいる」と書かれていた。
この投稿の読者はNRAのサイトに案内される。サイトには「NRAの『マーチ・フォー・フリーダム』(自由のための行進)に参加しよう」というメッセージが書かれている。サイトを訪問した人は会員に加わるための年会費を選べるようになっている。
銃乱射事件前の6週間で、NRAがFacebook投稿で寄付と加入を呼びかけたのは1回だけだった。ところが、事件後の6週間では11回も呼びかけている。
最近の投稿はさらにトーンを強めている。3月中旬、会員資格の継続ページにはこう書かれていた。
「自由を嫌う左翼は、自己防衛の基本的権利を奪おうとしている」
こうも書かれている。「私たちの生命は、自由を軽視する人間たちからの危険で無謀な攻撃にさらされている。未だかつてこんな事態になったことはない。かつてないほど、私たちと一緒に闘うあなたを必要としている!」。ちなみに、継続するともれなく景品がもらえる。
NRAの会費は通常1年間40ドル(約4250円)。NPO「Aマーク財団」の調査によると、NRAの全収入のうち、およそ半分が会費収入だ。
銃乱射事件の後、NRA会員がどれだけ増加したかや、どれだけの人数が会員資格を継続したかは明らかになっていない。
ハフポストはNRAにコメントを求めたが、すぐに返答はなかった。
ハフポストUS版より翻訳、編集しました。